欧州の医療保険事情
海外通信NO.93
欧州の医療保険事情
欧州は、「国民皆医療保険制度」や「ホームドクター制度」を多くの国が導入し、国民自身が「社会福祉」が充実していると感じている国が多くあります。
デンマークでは、「ホームドクター制度」により国民1人ひとりに専属のホームドクターが付きます。年間1人あたり約1万円強の上限額が定められており、それ以外は原則として公費により賄われます。しかし近くの私立病院に通いたい、高度な治療方法を自分で選択したいなど、個人の判断で受診すると公的医療保険の対象とならない場合があるため、民間医療保険の加入が徐々に増えています。
フランスの医療制度の特徴は、ホームドクター制度の下、日本と同じく医療費の一部を自己負担します。医療費は医療機関の窓口で支払い、後日、負担額を除いた額が還付されます。公的医療保険（基礎医療保険）による医療費の還付率は医師の診察料の70％。医療費の自己負担分や、入院時の高額医療費の備えとして、ほとんどの国民が民間の実損填補型医療保険「Mutuelle（ミュチュエル）」に加入しています。保険金給付は還付方式が基本ですが、入院等の場合には直接医療機関に支払われます。
実損補償型医療保険は、差額ベッド代が高額でも健康保険適用外の治療を受けた場合でも、支払った金額が補償されるので自己負担分はゼロという事になります。定額給付型に対して治療に特化した補償内容と言えるでしょう。
理想的な社会福祉のあり方やサービスとは、その国のおかれた文化的や社会的な状況によって異なります。
日本は、症状に合わせ医師を選び受診し、治療方法は自分で選択できます。治療が進歩していく中で、いざという時に慌てないよう自分や家族がこれから医療サービスをどのように利用したいか、医療費の備え方など、家族で話し合っておくと良いですね。
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