外貨預金と外貨MMF


クローバー通信 No.209

今年2022年3月には1米ドル=114円前後でしたが、急激に円安が進み、10月18日には149円台となりました。この半年で35円近く円の価値が下がった事になります。米ドルだけでなく、ユーロや他の通貨でも同様の動きとなっており、日本の地盤沈下が心配されています。

この中で、金利が高い外貨預金に資金を移す人が増えています。高金利だけを見るのではなく、デメリットもしっかり理解しておきましょう。

1 円安の背景

コロナショックにより停滞した経済を正常化するために、米国をはじめ世界各国が金融緩和政策をとったことに加えて、物流の停滞、エネルギー価格の上昇、ロシアのウクライナ侵攻など様々な要因から、欧米諸国で8%以上の物価上昇となりました。国民の生活に支障が出てきており、インフレを抑制すべく、米国FRB(米連邦準備制度理事会)は今年3月から段階的に政策金利を引き上げ、半年で3%上昇しました。欧州各国も利上げを実施しています。

一方で、日本銀行は、日本経済が利上げに耐えうるほど盤石ではないことや、日本の物価上昇はエネルギーや食糧価格による上昇であり、需要が物価を押し上げているわけではないことから、現在の金融緩和政策を維持する方針を変えていません。このような両国の金融政策の違いから金利差が拡大し、特に対米ドルでは円安ドル高が進行し、世界中が米ドルを買う流れとなっています。

2 外貨保有・取引のリスク

3 外貨預金と外貨MMF

外貨預金とは?

日本円を、ドルやユーロなどの外国通貨に換金して、外貨で預金する事を言います。日本円と同じように、普通預金と定期預金があります。

銀行で取引できるため一番身近な商品ですが、窓口では為替手数料が高く、定期預金では満期前に解約するとペナルティがかかるなどデメリットが目立ちます。

海外への送金や海外で現地通貨として使う場合は、為替手数料が安く、積立やサービスのあるネット銀行を利用するとよいでしょう。

金利優遇キャンペーンに注意!

キャンペーン金利では6カ月物で6%をつける金融機関もありますが、通常金利での米ドル1年定期では、ソニー銀行などネット銀行で、2%超(10/17時点)が多く、メガバンクでは、0.01%と、円定期と変わらない水準となっています。キャンペーン期間終了後は、通常レートに戻ります。金利だけに惑わされず、ほかの条件も確認しましょう。

外貨MMFとは?

外国で設定され、日本に持ち込まれて販売される外国投資信託です。

元本保証ではありませんが、高い信用度と流動性を持つ短期金融商品に分散して投資する事により、安定した収益を得ている商品です。無期限で換金性にも優れているので、外貨取引の基軸口座として資金を置いておくのに適しています。各商品の平均利回りは、2.4%程度(10/14時点)です。

為替手数料と利回り 比較

為替(両替)手数料は、外貨預金ではメガバンクは高く、ネット銀行は比較的安く設定されています。一般的に外貨MMFの方が、安く設定されています。

外貨MMFは、日々の残高に対して信託報酬がかかります。

利回り実績では、外貨MMFが少し高い場合が多くなっています。

流動性 比較

外貨定期預金の場合は満期日まで引き出すことができません。外貨普通預金や外貨MMFは、自分の好きなタイミングで換金できます。

倒産時の資産管理 比較

金融機関の倒産に対して、外貨預金は預金保険制度の対象外となり、保護されません。外貨MMFは、証券会社の資産と分別管理されているため、資産は保護されます。

【 比較表 外貨預金と外貨MMF 】

4 その他の外貨取引

FX 外国為替証拠金取引

FXは、外国の通貨を売買し、為替の変動で利益を得る取引です。証拠金を拠出することにより、数倍の資金取引ができますが、預けた証拠金以上の損失が発生する可能性があります。

日々の為替変動による資産への影響が大きいため、取引内容の十分な理解と、常にチェックできる環境が必要です。

外貨建て保険

外貨建て保険は、保険+外貨+投資信託の組み合わせです。積立式なら時間分散になりますが、一括での申込みの場合は、申込日の為替レートが大きく影響します。しっかりチェックしましょう。

まとめ

円安が進んでいるからとあわてて外貨預金に資金を移すのではなく、その背景もしっかり理解し、メリットとデメリットを比較しながら判断していきましょう。定期預金の場合、現在のような金利上昇局面では、期間を短く設定した方が、より良い金利条件を得ることができます。反対に金利が下降局面に入った時には、期間を長く設定する方が得になります。

為替は変動が大きく予測が難しいので、投資するタイミングは非常に重要な要素です。これから更に円安が進むと予想するなら、金利条件は良くOKでしょう。これ以上大きく円安は進まず、いずれ円高に反転すると考えるなら、一括投資では為替差損が生じる可能性が高くなります。判断が難しいからこそ平時から少しずつ外貨建ての資産へ投資することが有効になってくるのではないでしょうか。

 

 

 

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