介護保険と介護保険サービス

クローバー通信 No.194

生命保険文化センターの令和元年の調査によると、介護未経験者が、介護に対して不安を感じる内容として、「家族の肉体的・精神的負担」が一番多く67%、「自分の時間が拘束される」「自分の経済的負担」「介護サービス費用がわからない」が50%を超える結果となっています。

今回は、介護を支える公的支援である、介護保険と介護保険サービスについて取り上げていきます。

1 介護保険とは?

高齢化に伴い、要介護高齢者の増加・介護期間の長期化など介護のニーズは増加し、支える家族の状況が変化する中、要介護者を社会全体で支え合う仕組みとして、2000年に施行されました。財源は、保険料50%・税金50%からなり、2020年度の介護給付費は総費用ベースで12.4兆円となっています。

介護保険の対象者

◆ 65歳以上 [第1号被保険者]

病気の原因を問わず、介護又は日常生活に支援が必要と認められた場合、介護サービスを利用できます。対象者は、2020年4月末時点で3,558万人。20年間で1.6倍に増加している中、サービス利用者(要介護者)は669万人で、3.1倍に増加しており、介護サービスが高齢者の介護に不可欠なものとして定着しています。

◆ 40歳から64歳 [第2号被保険者]

末期がん・関節リウマチ、若年性認知症など加齢による「特定疾病」が原因で介護が必要となった場合に限定されています。

介護保険料

市区町村ごとに、所得などに応じて決められています。

65歳以上:年金が月額18万円以上であれば、年金から天引き。18万円未満の場合は納付書により個別に市区町村に納付します。

40歳から64歳:加入している医療保険と併せて納付します。

※ 低所得者や、入院・失業により減収した場合、保険料の減免措置があります。

2 介護・介護予防サービスを利用するには?

日常生活に介護や支援が必要だと感じたら、まずは、住まいの市区町村の窓口に相談・申請しましょう。ホームページなどで必要な情報や書類が入手でき、手続きは郵送で行う事もできます。

今回は、川崎市の手順をご紹介します。 ◆ 川崎市のHPより抜粋

【申請に必要なもの】

介護保険被保険者証

  (ただし、40歳以上65未満の人は、加入している医療保険の被保険者証)

かかりつけ医のわかるもの(例:診察券)

③ 印鑑(代理人の場合)

マイナンバーの確認に必要な書類

【手続きの流れ】

⒈ 要介護・要支援認定申請

本人または家族等が、区役所・地区健康福祉ステーションの介護保険担当窓口に申請。本人や家族が申請できない場合は、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設、地域包括支援センターなどに申請を代行してもらう事も可能。

⒉ 主治医意見書・認定調査

主治医の意見書

市が申請書に記載された医師に作成を依頼。

認定調査

認定調査員が自宅に訪問。調査項目には、 ①身体機能について(立ち上がりや歩行、寝返り、視力、聴力など) ②生活機能について(食事の摂取、衣服の着脱、排泄など) ③記憶や理解力について。実際に動作を行う場合もあり。

(※ 状況によっては、入院先などに訪問してくれる場合も)

⒊ 介護認定審査会

認定調査の結果と主治医の意見書をもとに、どのくらいの介護を必要とするかを保健・医療・福祉の専門家で構成する介護認定審査会で審査し判定。

⒋ 認定

判定結果に基づいて、市が認定し、申請した日から原則30日以内に本人に通知。

⒌ 介護(介護予防)サービス計画(ケアプラン)の作成・サービスの利用

3 ケアプランの作成・サービスの利用

認定ランクによって利用可能なサービスは変化

要支援1・2の場合

介護保険の介護予防サービスや、介護予防・生活支援サービス事業を利用できます。

指定の地域包括支援センターの保健師等と目標を決め、介護予防ケアプランを作成します。ケアプランに基づき、事業者と契約し、サービスを利用します。

要介護1から5の場合

介護保険の介護サービスを利用できます。

本人または家族などが、居宅介護支援事業所を選び、直接連絡し、契約します。そこで介護支援専門員(ケアマネジャー)と相談しながらケアプランを作成し、ケアプランに基づき、事業者と契約し、サービスを利用します。

介護・介護予防サービスを利用する場合、サービスの1~3割を自己負担します。要介護区分によって利用限度額は異なります。利用限度額を超えたサービスを希望する場合には、全額自己負担により利用できます。

4 介護サービスの内容

◉ 在宅サービス:自宅に居ながら、サービスを受ける

① 通所介護(デイサービス)

  施設数:約24,000箇所  利用者数:約160万人

自宅から送迎などでデイサービスセンターに通い、機能訓練や食事・入浴などをして日中過ごす。

② 訪問介護(ホームヘルパー)

  事業者数:約33,000箇所  利用者数:約145万人

訪問介護職員(ホームヘルパー)が利用者の家に訪問し、食事や着替えなどの身体介護、または調理・洗濯などの生活援助を行う。

その他:訪問看護、訪問入浴、通所・訪問リハビリテーション福祉用具貸与 など 

◉ 施設・居住サービス:施設に入所し、サービスを受ける

③ 特別養護老人ホーム

  施設数:約8,000箇所  利用者数:約69万人

介護を受けながら長く生活をする施設。要介護3以上の高齢者が対象。入居待機者が多く数カ月以上待つ場合がある。

その他:老人保健施設、認知症高齢者グループホーム など

まとめ

介護は誰にでも起こる出来事です。親の介護、次は自分が介護される側にもなっていくので、他人事ではありません。近隣の方と交流を持てているなら良いですが、気分や体調がすぐれず家に閉じこもって人との交流がなく、認知症がすすんでしまうケースもよく見られます。

反対に、デイサービスに通い始めた事で以前よりよく話すようになった、ケアマネジャーやヘルパーの方々の「皆さん(家族)を支えるために、私たちがいるのですよ」と言う言葉で、精神的に気が楽になり、安心して任せる事ができた、という声もあります。

まずは申請して、介護認定を受けなければ、介護サービスは利用できません。一度サービスを受ける仕組みを作ることで、介護する側もされる側も、安定した生活の基盤造りとなります。

また、1人で抱え込まない事が大切です。色々と相談できる人を見つけましょう。介護は、誰か(配偶者や兄弟姉妹など)に任せっぱなしにせず、話を聞いたり、労働や金銭の援助が必要かなど、コミュニケーションを取ることが大切です。

夏休みで久しぶりに皆さんで集まる機会があるかもしれません。

家族で介護についてお話しされては、いかがでしょうか。

 

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