専門家の不作為

専門家の話

コロナ発生以来専門家の講演・講話をテレビ、講演会などで何度となく聞く機会があった。

コロナの感染・発症に至る経緯については、

① 発症前潜伏期間はおおむね7~10日間
② 感染初期1~3日間は検査に反応しないことがある
③ 発症前3~4日前から感染させる
④ 発症して約2週間経過すれば感染力を失う

ということに要約できるのではないかと思う。

また、専門家はPCR検査についてはコロナの発症の確定診断のためのツール:検査と考えており、国民の全数検査に対しては極めて否定的な意見であった。

予防的殺処分と予防的検査

昨年11月5日香川県で鳥インフルエンザが発生し31万7千羽の予防的殺処分が行われた。10年前には宮崎県で牛の口蹄疫が発生し29万頭の予防的殺処分が行われた。動物の世界では、一頭でも一羽でも感染症が発生すると徹底的な「ウイルス・ゼロ」対策が取られる。香川県では800人の自衛隊員が動員されたという。鳥インフルエンザは現在各地へ飛び火して、今年1月13日時点では鹿児島県でも発生し全国で15県、既に604万羽の鶏の「予防的殺処分」が行われた。

一方、人間が対象である新型コロナについては、当然ながら予防的殺処分をとることができない。

ならば、私はコロナ・ゼロ作戦として予防的殺処分に代替する方策として「予防的全数検査」を繰り返し実施し、コロナを徹底的に探索し、感染者を早期隔離する政策をとるべきであると考えるが、専門家は国民の行動変容を通じて感染を制御することのみしか考えていない。

取るべきはコロナ・ゼロ作戦

昨年8月号をもう一度引用しよう。

『ロンドンのペスト流行のときにはどうしてもできなかったことがある。


「ペスト」

ダニエル・デフォー中公文庫(p.348)

「ひとたび悪疫が流行しだした時、鋭意、あらんかぎりの人知をつくしてその蔓延を防ごうとしても、これがついに不可能だったのもこのためであった。すでに感染した人間と健全な人間との区別がどうしてもできなかったのだ。」…


しかし、今はそれができるのである。PCR検査、抗原検査、抗体検査などにより感染者と非感染者の区別ができるのである。なぜやらないのであろうか。PCR検査は本来発症した人がコロナに罹患したかどうかを判定するためのものと理解しているが、国民を「非感染者」認定の判別する機能も有しているのである。』

経済をV字回復させるには、人の行動を自由にしなければならないことは自明のことであろう。

「100年に一度の危機から日本経済を守り抜いていく」(5月25日、衆議院:安倍首相演説から)、「爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜きます。…経済を回復してまいります」(菅首相所信表明演説)この演説が本心ならば、仮設病院、仮設隔離施設、保健所から切り離したコロナ検査体制などを整え、国家が総力を挙げて行えば全国民を3カ月で一巡する予防的検査はできるであろうし、その体制を作るべきである。

報道によれば、武漢では1千万人の市民の検査を9日間で行い、3000床規模の仮設病院を21日間でつくったのであるから。

家庭内感染は専門家の不作為

コロナ第3波では家庭内感染が急増している。専門家は冒頭に書いた通り発症前の感染者が存在し感染力を持っていることを知りながら、その対策を全く提案していない。感染症の対策は前述の「予防的検査」を徹底すること、また〝徹底した隔離〟であることは鶏や牛の例を出すまでもなく明らかである。現在対策の中心となっているクラスター対策は感染症の初期の対策でしかない。家庭内感染の多発は、予防的検査・陽性者の早期隔離を放置している専門家の不作為といっても過言ではない。

見習うべきは中国のコロナ政策

この点、コロナ・ゼロ作戦を徹底して行ってきた中国は経済のV字回復を果たしてきている。

昨年10月12日の小さな記事によれば、青島市で一人の感染者がでたのに対応して青島市民全員に検査を短時日に実施する旨報道されていた。

不安と恐怖によって国民に行動変容を迫り、感染抑制するのではなく、予防的検査による陰性者に「コロナはいませんので安心して経済活動を行ってください」と、国民を安心して経済活動ができるようにするのが政府の役割だろう。

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三
 

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