改元2年目のジンクス

改元ジンクス:武漢コロナ

改元2年目のジンクスは今年のほっとタイムス1月号「異常気象」の中で触れたものである。昭和の戦争を挟んで前期の昭和2年、後期の昭和21年、平成の改元の2年目に経済の大きな転換があった。1月号の該当部分を再掲する。

改元2年のジンクス

昭和2年の昭和金融恐慌、後期昭和2年(昭和21年)の預金封鎖、デノミ、財産税、ハイパーインフレ。平成2年の株式大暴落など改元2年目のジンクスがある。金利が消えかけて経済のオゾンホールに大きな穴が開いた状態の日本経済、新年早々ではあるが令和2年、経済の異常気象が吹き荒れないように願うのである。

中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、クルーズ船騒動があったと思う間もなくイタリアから、アメリカ、ヨーロッパ各国まで、特にイタリアを中心にフランス、スペイン、ドイツ、中南米、中東、アフリカ諸国にも及び、世界各国で大流行してしまっている。

原稿執筆中も世界各国の渡航制限・都市封鎖の報道が相次いでおり、すでにリーマン・ショック以上の経済的被害が出ているといわれ、改元2年目のジンクスが的中してしまった感がある。

そして、日本でもついに4月7日「緊急事態宣言」」が発令された。

武漢コロナ対策と財政支出

武漢コロナによる経済的損失は計り知れない。IMFの発表によれば2020年のパンデミックによる経済損失は100兆円超と予測している(3月13日付 日本経済新聞)。

感染症の流行は全地球人類の人命にかかわることである。経済活動に対しても急性心筋梗塞による心肺停止のように、人体に例えれば「血流が止まった」「密室に閉じ込められ酸欠状態になった」ような感じである。感染症対策は人命対策:「人命はお金に換えられない」のである。

だから一刻を争い一刻の躊躇もせず、世界各国は国民の人命を守るために私権を制限しても武漢コロナを抑え込む政策をとり、その為に生ずる国民の経済的苦境を救うために経済対策を打ち出している。

3月19日付の新聞によればアメリカとイギリスは両国合わせると250兆円にのぼる対策をとることが決まったと報じている。

日本も事業規模108兆円の緊急経済対策を打ち出した。

ドイツでも憲法が禁じている赤字国債の発行を決めたという。

MMTは救世主?

MMT(現代貨幣理論)は、アメリカや日本など自国通貨で国債を発行している国は国債の債務不履行(デフォルト)に陥らない。だから、政府は借金を気にせず必要なお金はどんどん出してもよい、と言っている。無制限の財政支出を求められる武漢コロナ経済対策を見越したかのような理論が表面化してきた。

しかし、昭和21年、当時の日本政府は「借りているものは返す。しかし、一度死んで相続税を払うつもりで税金を払ってもらう」といって、デフォルトを避け預金封鎖、ペイオフ、財産税を実施した。また、並行して政府に対する債権の切り捨てを行っている。

国債のデフォルトが良いか、国債のデフォルトはないがハイパーインフレや国民の財産を収奪することが良いのか。デフォルトにならない方が政府にとって都合がよいのは明らかであるが、国民にとってはどちらがよいであろうか。

令和恐慌の足音がする

武漢コロナ騒動以前の1月8日、相棒シリーズの「X−DAY」が再放送された。また、真山仁氏の「オペレーションZ」がドラマ化され3月15日から6回シリーズでWOWOWで放映された。ドラマ化するには相当前からシナリオ化や制作のため準備が必要であろう。この2つは日本の財政破綻をテーマにしたものである。いま、このような企画をした意図はどこにあるのだろうか。

リーマン・ショックの傷もいまだ癒えない日本やEU、ようやく治りかけたアメリカが、人命のためにリーマン・ショックの時を上回る財政支出を迫られている。感染症コロナは必ず収まるとしてもその後の経済や金融システムにどのような影響を残すのであろうか。

日本の財政再建が不可であることは以前から言われており、国家予算にも匹敵する108兆円もの今度の武漢コロナ対策支出が「ラクダの背を折る最後のわら」になりはしないかハラハラしている。令和恐慌の始まりにならないように願う。

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三
 

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