小林茂著『創造的経営』を読んで 〈ソニー厚木工場の事例〉

小林茂著『創造的経営~その実践と探求』を読みました。小林茂氏はソニーの創業者の一人、井深大氏に他業界からスカウトされ、取締役工場長としてソニー厚木工場に着任、経営を改善しました。

❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖

読むことにした理由は、AI(人口知能)やテクノロジーが進み、これからますます便利になるということを耳にすることが増え、人の働き方がどうあるべきかについて考えていたときに、「小林茂氏は、働く人たちの仕事への動機づけを高めることを大切にした」と聞いたことを思い出し、「小林茂氏の著書が役に立つかもしれない」と思ったからです。

私が『創造的経営』を読み、一番興味深いと思ったところは、小林茂氏が働く人たちとの信頼関係を高めるために、「無人食堂の導入とタイムレコーダーの廃止」の取り組みをしたことです。無人食堂というのは、各自が誰の監視も受けずに、必要な額の食券と引き換えに、自由に食べ物を取ってくるものです。

提案したときは「そんなことが出来るはずがない」と反対されたものの、実行が絶対に必要だと考えた小林茂氏は、必死になって実行したそうです。「わずか一歩でも信頼感のある会社の方向に進みたい」という必死のデモンストレーションだったそうです。

私はこれまで色々な場面で食堂やタイムカードを利用した経験から、「当時2,000人規模だった工場で、無人食堂の導入やタイムレコーダーの廃止が出来るのだろうか?不正が起こらないのだろうか?」と思いましたが、「食堂は、工場におけるマネジメントの大きなキーポイントとなった」と書かれていました。

私はこのことから、一人ひとりが信頼されていると思える雰囲気づくりが大切だと思いました。なぜなら、そのような状況下では次の3つのことが起こりやすいと思うからです。

その3つとは、「①進んで責任を取ろうとする。②自分の思っていることを発信できる。③分からないことを分からないと言える」です。それは難しいとされがちだと思いますが、私は『創造的経営』を読み、「出来るかもしれない」と思いました。

また、AIに「無人食堂の導入やタイムレコーダーの廃止を行うべきか」と相談したら、きっと「うまくいく確率は低いでしょう」という答えが返ってくると思います。AIやテクノロジーを活かすと同時に、人間の感性を磨くことも大切なのかもしれない、と思いました。

 


神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ