出生数100万人割れ

出生数100万人割れ

会長昨年末厚労省が人口動態調査を発表して2016年の子供の数が100万人の大台を統計開始以来初めて割り込み98万人~99万人になる見通しであると発表した。

昭和22~24年の第一次ベビーブームの時は年間出生数は250万人を超え、第二次ベビーブームの昭和46~49年には200万人台の出生数であった。

しかし、第三次ベビーブームが想定された平成初期はバブル崩壊の煽りを受けてベビーブームは起こらなかったのである。

長寿社会の実現

この少子化現象と平均余命の伸長による長寿化は分けて考えなければならないが、これを合わせて少子高齢化社会といって社会保障の面からマイナスイメージを抱かせるような論調が一般である。

この高齢化社会をポジティブに、人類の夢である「長寿社会」の到来であると捉えている記述が目に留まった。

かねて長寿社会は人類の夢が実現しつつあると感じていた私にとっては我が意を得た思いであった。

「日本が今日世界一二を争う長寿国であることを知らない人はいない。しかし、これを当たり前だと思ってはいけない。日本人の平均寿命の延びは、戦後の日本が成し遂げた成果、「最大」といってもよい成果なのである。(吉川洋「人口と日本経済」102P)」と述べているのである。

ライフデザインの再構築

長寿社会が人類の夢の実現であるとしたら、少子高齢化社会の到来といわず「長寿社会の到来」とポジティブに受け止め桃源郷物語に象徴されるような理想社会における生き方を目指して新しいライフデザインの再構築を図ることがこれからの課題であろう。

このようなことを考える一つの手ががりとして最適人口論がある。

これまでは人口を論じる時に「一国が養いうる「最大の」人口が問題とされてきたが、最適な人口はそれとは違い、「それ以上に人口が増えると平均的な福祉水準が、もはや上がるのではなく、逆に下がってしまうような人口水準」である。

つまり、最適な人口とは「一人当たりの平均的な福祉の水準を最大にするような人口」であるという。そして、人口政策の中心は最適人口と比べて多すぎる人口を減らしていくことだ。(前掲書46P)とも述べている。

このような視点で現在の少子化現象を見るとき年金制度、医療保険制度、介護や子育てなど社会保障制度が破綻に瀕しているとき、日本は最適人口に向かっての調整期に入ったのかもしれない。

働き方改革から生き方改革へ

安倍政権は構造的な問題である少子高齢化に真正面から取り組むため「希望を生み出す強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心につながる社会保障」の新三本の矢の実現を目的とする「一億総活躍社会」の実現に向けて政策を始動させている。

しかし、働き方改革が云われているが極めて対処療法的であって、これからはライフデザインの再構築を目指す「生き方改革」を模索していかなければならない、と考える。

人生100年といわれる現在、子育て適齢期20歳台、30歳台を労働力として働き、子育てが添え物的に扱われているのは異常である。

この子育て適齢期を自身の成長や能力アップと子供の成長とを共にできるようにするにはどうしたらよいのであろうか。

働きながら社会に依存して子育てするのと、教育や自身の能力アップを図りながら子育てするのではどちらが母子に良いのであろうか。

人間形成期に政策の重点を

私の周囲には何組ものこのモデルになるような働き方・生き方をしている人たちがいる。

子育てをしながら緩やかに社会とのつながりを持ち、子供の成長に合わせて資格にチャレンジして能力アップ、スキルアップを図っている人、キャリアを積んで大学の先生をしている人もいる。学生結婚をして3人の子育てをして社会に出て仕事をしている。

子どもの成長と合わせて社会に適応していく能力をつける教育と子育てを両立させる方が仕事と子育てを両立させようとするよりもはるかに良い。

このようなライフスタイルは今では例外的なものでしかないが、長寿社会においてはこれが子育て期を過ごす当たり前のスタイルになるような社会づくりが望ましいと思うが、皆様はいかがお考えでしょうか。

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三


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