十分な利息を払える産業、政策を

党首選における政策を聞いて

9月に自民党と民主党の党首選があり、選挙に当たって政策を発表していた。尖閣諸島や竹島を巡る日中・日韓の領土問題が大きな話題を呼んでいるが、私たちの生活に直結する問題を取り上げる。

自民党も民主党もデフレ脱却、財政再建、税と社会保障の一体改革などを提案していた。しかし、どこかおかしいと思いながら聞いていたが、ほっとタイムスを読んでいただいている皆さんも同様なのではなかろうか。

おかしいと思った論点の一つは、デフレ脱却のためには内需を拡大しなければならない。しかし、内需の中心は高齢者に移っていて、しかも、高齢者がお金をたくさん持っているにもかかわらず、ちっとも使ってくれない。

よって、高齢者から消費需要の旺盛な若者へお金をシフトさせ消費需要を喚起して景気回復、デフレ脱却の道筋をつけようという。

もう一つの論点は消費需要の旺盛な若者の失業率が高く消費需要が盛り上がらないので雇用を増やして、消費需要を掘り起こすために企業に雇用義務を強化しようというのである。

預貯金を運用するのは
政府・金融機関の役割、責務である

それ自体否定するものではないが、仕事を離れた高齢者が長寿社会を暮していくには元気な時に働いて貯蓄したお金によってしか長寿社会を生きてゆく生存コストを賄えないのである。

以前にも述べたが、長寿社会においては、高齢者は元気な時に働いて蓄積したお金に働いて貰い自分の生存コストを賄うのが原則である。高齢者がお金を持っているのが当たり前なのである。いや、当たり前でなければいけないのである。

問題 は高齢者の預貯金に対する金利が低すぎるのであって、年金財政の破綻の元凶も低金利にあり、高齢者はお金を使いたくても使えない状態である。

リスク商品に手を出さず、預金の金利で安心して暮らすには今の1%にも満たない金利ではどうにもならない。せめて2~3000万円の貯金があれば老後に不安を感じないで済むような金利が望ましいのである。この金利を高齢者に安心して提供するのが政府や金融機関の役割である。

社会保障より産業振興

今の日本の財政状況は金利が上がれば財政負担が立ちどころに立ち行かなくり、金融機関は国債の暴落によって何兆円もの損失を被る状況である。

高齢者が安心して暮らせる金利どころではなくなっている。ところが消費税の増税分は社会保障に充てるという。社会福祉は経済あっての社会保障であって、経済が立ち行かないのであれば、社会保障を抑えてでも産業を振興させてゆかなければならない。

一にも二にも産業振興であって、これにより雇用も社会保障も充実させることができるのである。ところが、いま膨大な金額が日本銀行に預金準備預金として積み上がっている。金融の量的緩和策がとられているが、お金の行き先がなく日本銀行を中心とした金融機関の中に滞留しているのである。

国家プロジェクトとしての産業振興

島田晴雄氏の近著「盛衰」によれば日本はいま ①糖尿病 ②心臓病 ③分裂症 ④大怪我 ⑤骨粗鬆症の五重症であるという。私はこれに官僚制度が自己増殖の過程に入り癌化してしまって、⑥「癌」にも罹っていると感じている。

これらの症状を改善・ 改革するには、今まだ金融機関に滞留しているお金があるうちに、これを生かして第二次大戦の敗戦後のように国家プロジェクトとして産業振興を図る必要がある。

お金が働かない限り金利は生まれない。金利が生まれない限り長寿社会は維持できないのである。

明治政府が近代化に向けて富国強兵の目標を掲げて産業振興を図ったように、あるいは、第一次大戦後のドイツが膨大な戦時賠償金を背負いながら奇跡的な経済再建をしたように、活力ある長寿社会を目指した国家プロジェクトとしての産業振興を図って欲しいものである。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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