住宅ローン その3 無理のない住宅ローン

【 はじめに・・・ 】

新聞に入ってくる住宅物件の折り込み広告を見ていると、「今支払っている家賃と同じような負担額で家を購入できる」と、マイホームの夢は膨らみますね。

金融機関では年収などの条件から貸してくれる金額を試算してくれますが、その金額を返済できるかどうかは別問題。

ポイントは「いくら借りられるか?」ではなく「いくらなら返せるか?」です。 今回は、「無理のない返済額」から、「借入可能額」や「物件価格」を算出していきましょう。

【 注意!住宅販売チラシの見方 】

住宅販売のチラシを見る際には、以下の点にご注意ください!

〔金利表示〕:固定金利か変動金利なのか?

その時一番低い金利を適用しています。変動金利なら金利上昇のリスクがあり、返済額が上がる可能性大です。

〔月々お支払額〕:家賃並みの支払い=住宅ローン返済額のみ?

住宅を購入すると返済額の他に、管理費や修繕費・固定資産税・火災保険料など住宅維持費がかかります。

*借入条件は、あくまでも一般的である事をお忘れなく

【 頭金の役割 】

頭金とは、購入する物件の代金に充当する自己資金部分の事です。購入価額の2割以上用意するのが一般的とされてきた時代から、最近は頭金ゼロでも借りられる住宅ローンが増えてきました。

では、2割という数字はどこから出てきたのでしょうか?

新築の場合、販売会社や開発業者の利益やコストが2割程度上乗せされています。新築マンションを買ってすぐに売りに出した場合、購入価格の8割程度でしか売れないのです。 もし、頭金ゼロですぐに物件を売却しなければならないとしたら、物件の売却価格より住宅ローン残高の方が大きく、ローン返済の為に差額の現金を用意しなければなりません。

頭金が2割あれば、住み替えや不測の事態で物件を売却した時に、ローン残高を残さず手放す事ができます。

【 住宅ローンの借入額 】

STEP1:◆ 無理なく返せる額を算出 (年単位)

=「現在の年間家賃(管理費込)」+「現在の貯蓄額」
-「ローン返済以外の住宅費*1」-「購入後の貯蓄予定額*2」

*1:固定資産税・修繕費・管理費
*2:教育費・老後資金の積立など。
進路変更など急な支出に対応できるかも考慮しましょう。

STEP2:◆ 返済期間を決める

⇒その金額を何年間支払えますか?

何歳で借入をしますか?リタイヤ後も支払いが続くのでは家計が厳しくなります。

自分が収入を得られる期間で考えましょう。

STEP3:◆ 借入可能額を算出

⇒「無理なく返せる額」と「返済期間」と「金利」から
借入可能額を算出しましょう。

*全期間固定金利で計算しましょう。

低い変動金利で計算すると、実際に金利が上がったとき、家計が破綻する可能性があります。

【フラット35】の住宅ローンシミュレーションなどで試算ができます。
http://www.flat35.com/simulation/simu_02.html

STEP4:◆ 無理なく買える額を算出

=「借入可能額」+「頭金」-「諸費用」-「6か月分の生活費」

* 頭金は物件価格の2割程度
* 諸費用は登記費用など物件価格の5~10%が目安
* イザという時のお金は残しておきましょう。

◆これで無理なく買える物件価格が算出できました。

固定金利で、余裕があれば繰上返済する方法がおすすめです。

【 まとめ 】

以前と比べて退職金が減り、年金の受給開始年齢の引き上げが検討されている中で、住宅ローンに充てられる金額は以前より少なくなっています。

また、金融機関が行う審査で、借り手の信用調査が慎重になり、年収の他、勤続年数や勤務先の信用力などもチェックされているようです。

マイホームという「夢」の為に生活が破綻しては元も子もありません。ライフプランに併せ、「無理なく返せる額」と「無理なく買える額」を頭に入れて、物件や住宅ローン選びをしましょう。手間はかかりますが将来の家計を守るためにぜひ計算をしたいところですね。

 


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