親から子へ、子から孫へ 相続時精算課税と住宅取得資金の非課税制度
【 はじめに・・・ 】
今回は、贈与税の中でも、『相続時精算課税制度について』、『住宅取得資金の非課税制度について』取り上げていきます。
(H23年度税制改正をもとに作成しています。)
【 A:相続時精算課税制度 】
生前贈与を促進するための設定された制度です。財産の贈与を受けた20歳以上の子・孫ごとに、また60歳以上の父・母・祖父・祖母ごとに選択できます。選択した年以降、相続時まで継続して適用されます。
贈与税非課税枠は合計2500万円までです。枠を超えた部分については、一律で20%の税金が贈与時にかかります。
財産の種類・金額・贈与回数に制限はありません。
たとえば…
相続時精算課税制度を利用
3年間 1,000万円ずつ贈与
H22年 1,000万円 【贈与税 なし】
H23年 1,000万円 【贈与税 なし】
H24年 1,000万円 【500万円分贈与税なし】+【500万円分課税】
合計 3,000万円
相続発生時に、相続財産とそれまでの贈与財産(贈与時の価格)を合わせて相続税を計算します。
『特徴』
①贈与税が大幅に軽減されるので贈与しやすい。
②贈与財産はいずれ相続税の課税対象になりますが、相続税の基礎控除内であれば相続税は課税されません。
③相続税の課税対象となる場合、贈与時の価格(相続税評価額)で計算されるので、贈与した後に値上がりした財産については有利となり、値下がりした財産は不利になります。
④遺言書による相続のように、死後財産が分割されるのではなく、生前に親の意思で財産を分配できます。
【 B:住宅取得資金の非課税制度 】 ~23年12月31日
父母、祖父母から住宅取得資金を受けた場合に1000万円まで非課税になります。受贈者の子・孫は贈与の年の1月1日に20歳以上、その年の合計所得金額が2000万円以下 などの要件があります。
この制度は単独で利用するほかに、相続時精算課税制度や基礎控除と併用して使う事もできます。
◇一般の基礎控除 110万 + 贈与税非課税 1,000万円 = 合計 1,000万円
◇相続時精算課税 2,500万円 + 贈与税非課税 1,000万円
【具体例】
相続時精算課税制度を選択、住宅取得資金非課税枠利用
住宅取得資金として 父 2000万円・母 1000万円・祖父 500万円
合計3500万円の贈与を受けた場合
【 まとめ 】
相続時精算課税制度は、上手に利用すると父母、祖父母から子・孫へ贈与税がかからず財産を移転する事ができます。
相続税がかからないと予想される場合や、生前に財産を分配したいと考えている方にとっては、有効な制度と思われます。
今回はH23年度税制改正をもとに作成しておりますので、変更となる場合もあります。制度を選択する際にはぜひご相談ください。
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