新年金制度案に思うこと

新年金制度

5月 25 日に民主党政権の「新年金制度に関する検討会」の年金制度の基本方針が発表された。

この基本方針によると①最低基礎年金月額7万円の保証と所得比例年金を一本化した制度を創設し、かつ、最低基礎年金については全額国の負担としたい、とのことである。

いまヨーロッパで起こっ ていること

ギリシャの財政悪化による国債のデフォルト は、EUの救済活動で一応回避された。ギリシャは高福祉国家であったが、政府は財政再建のため公務員の給与・退職金や年金のカットを実施し、ストライキが発生して混乱が続いている。

さ らにギリシャのほかにも、ポルトガルやハンガリーでも財政破綻懸念が表面化しストライキや社会不安が起きている。今やヨーロッパ型の高福祉社会が財政破綻に瀕し、IMFやユーロ圏諸国から支援の条件として厳しい財政再建を求められ、その痛みが国民にしわよせされて社会混乱が生じているのである。

懸念される日本の財政破綻

わが国について、も IMFの最近の財政状態に関する報告では、 2015年には国と地方を含む債務のGDP比が 250%にまで上昇すると予想しており、財政破 綻の秒読み状態に入ったのではないかと感じてい る。

このような中で日本の民主党政権はすでに「子供手当て」「高校授業料無償化」「農家の個別所得補償」など国民に直接給付する施策を実行しており、そのうえに冒頭のように基礎年金国庫負担を考えている。しかし、IMFの報告にもあるとおり、わが国の財政状態は先進諸国内で跳びぬけて悪い状態で、破綻を懸念する声も多くあがっているのである。

このような時にギリシャ国民の苦痛が目の前に繰り広げられている現状を見るとき、財政破綻を加速させる政策を人気取りのために行うことは、老婆心ながら、遠からず国民をそれ以上の苦しみの中に投げ入れるようなことになるのではないかと思うのである。

スウェーデンモデルから 自立心を育てるシンガ ポールモデルへ

基礎年金の国家負担や 「子ども手当」に代表される国民直接給付などの政策は国民の国への依存心を高めることはあっても、決して国民の自立心や愛国心を育てることにはならないことは、多くの識者が指摘するところである。

世界数十カ国の大学や研究機関が参加する「世界価値観調査」によると、日本人が「自国を誇りに思う」の項で世界最低に近く、「もし、戦争が起こったら国のために戦うか」については15 %と図抜けて世界最低である。ちなみに韓国は74 %、中国は 90 %である。

シンガポールのリー・クアンユー氏はシンガポールの独立に際し国民の愛国心と自立心を育てるような政策はないだろうかと模索した結果、現在の中央積立基金(CPF)制度をつくり、国民の財産の形成や安定した年金制度の確立を通じて愛国心と自立心を育てることに成功した。

新年金制度は スウェーデンをモデルに したと報じられているが、高福祉のヨーロッパ型でなく自立心と愛国心を育てるシンガポールモデルを参考にし、今こそ国家百年の大計を立てるべきときであると考える が、皆さんはどうお考えであろうか。

LRパートナーズ 代表社員 小川湧三

 


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