健康保険の「扶養」と所得税の「扶養」は違います

令和5年10月より「年収の壁・支援強化パッケージ」が実施されています。このうち130万円の壁については「一時的な増額により130万円を超えても連続2年は扶養のままでいられる」こととされました。

▪この場合の「扶養」健康保険の「被扶養者」のことで、自身で保険料を支払うことなく被保険者に準じた一部の保険給付(医療サービス等)を受けられるというものです。また配偶者の場合は同時に国民年金第三号被保険者となることができ、こちらも年金保険料を支払うことなく、将来の老齢基礎年金等を受け取ることができます。この「扶養」の要件は、所得税の「扶養」とは異なりますので注意が必要です。

▪所得税の場合の「扶養」の要件は次の通りです。

❶給与所得者本人と生計を一にする配偶者(内縁者は該当しません)、および六親等内の血族または三親等内の姻族であること。入院や修学の場合は別居していても送金等をもって生計同一とみなされます。

❷1月1日から12月31日の一年間の合計所得金額が48万円(給与収入だけなら103万円)以下であること。但し失業保険や遺族年金、障害年金等の非課税所得は含まれません

▪一方健康保険の「扶養」の要件は原則次の通りです。

❶被保険者(=給与所得者本人)の配偶者、直系尊属、子、孫、兄弟姉妹、および被保険者と同居している三親等内の親族や配偶者の父母等であること。配偶者は内縁でも認められる場合があります。

❷年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)かつ被保険者の収入の半分未満であること。また、別居の場合は被保険者からの仕送り額未満であること。「年間収入」とは過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点以降将来に向けての年間収入の見込み額になります。また失業保険等の非課税の収入も含まれます。今後収入が130万円を超える見込みの場合は「扶養」から外れることとなり、自身が勤務する会社で健康保険・厚生年金に加入するか、または国民健康保険、国民年金に加入することになります。

▪なお被保険者数が101人(令和6年10月からは51人)以上の会社では、賃金が月額8.8万円以上等の要件で、健康保険・厚生年金の加入が義務づけられています。それにより扶養から外れることになり、これがいわゆる106万の壁です。

 


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