「三方よし」の精神を大切に

私の出身である滋賀県ですが、琵琶湖が大部分なことは知っているけど、それ以外はちょっと…といった印象が一般的ではないでしょうか。

琵琶湖は滋賀県全体の6分の1に過ぎず、県内には彦根城、延暦寺等歴史的建造物が多数存在し、ひこにゃんでも有名になりましたが、商売の世界で有名なのは、天秤棒一本を肩に全国を行商し、多くの企業を創業した近江商人です。

近江商人は近江に本店を置き、大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人の一つと言われています。

その教えを伝えるコトバとして「しまつして、きばる」―他人の嫌がることを進んで行い、経済合理性を追求する。「陰徳善事」―利益の一部は、人知れず人のためになるよう寄付すること。等の語録がありますが、有名なのは「売り手よし、買い手よし、世間よし、すなわち三方よし」ではないでしょうか。

商売において売り手と買い手が満足するのは当然のことで、それに加え社会に貢献できてこそ良い商売であり、そのような商売をしなければならないという教えです。

翻って、米国を中心としたグローバルな考え方として、会社の目的は、株主に利益を短期的に還元することで、従業員や仕入先、顧客はその利益を獲得するための手段であり、社会は経営に無関係(税金は厄介なコスト)と考える時代(株主資本主義)もありましたが、近年、株主、従業員、顧客、取引先などを含めたすべてのステークホルダー全体の便益を最大化(ステークホルダー資本主義)することが目的である。との考え方に大きく変化してきました。

日本の会社は以前から、短期的な利益を追求するだけでなく、広くステークホルダーの利益を重視してきたと自負する向きが多いと思われます。「誠実」「信用」「信頼」を大事にした商いを心がけ、結果として適正な利益を獲得し、商売の評判も上昇し、さらに繁盛するという「三方よし」の精神が経営者に染み込んでいたのではないでしょうか。

最近、地元で環境関係の会社を経営している友人が、「三方よし」でなく、これからは未来の環境を含めた「四方よし」で経営する必要がある旨の投稿をしていました。まさしく同感です。

税理士法人LRパートナーズ
川崎事務所 所長 山下 功起

 

お問い合わせ

神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします