モノサシ

税法というと触れる機会もなく税額計算のための法律で、複雑でとても難解だというイメージを持たれる方は多いようです。

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ある新聞の記事には「一読して難解、二読して誤解、三読して遂に解すること能わず」とまで難解なことを指摘した記事が掲載されていました。しかし、税法は憲法や民法等の基本的な法分野と密接に関係し、私達の日常生活に深くかかわっています。

たとえば、税負担を考慮しないで、遺産分割をする方や不動産の賃貸、売却をする方は通常いないはずです。またアルバイトで働く場合なども誰もが税負担を心配し、大学卒業後、刑法のお世話になる方はいないはずですが、税法はほぼすべての方に関わってきます。それだけ、皆さんにも「税」について今まで以上に関心を持ってもらいたいと思っています。

ただし、不思議なことに人のモノの見方は、同じ風景でも、見ている人によって、その感じ方や見え方が違うように、税についても条文で理解する人、要件で理解する人、理屈で理解する人など様々です。そういう意味では、同じ法律(景色)を見ていても、意外と見ているものは違うものかもしれません。それが各人のフィルターを通してみた思考であると思います。

たとえば、「税」という共通言語で、お互いが口にする言葉は同じでも、実務ではその前提となる思考方法が異なった場合には、税金の額に影響を及ぼすこともあります。それを意識せず、誰もが自分と同じ認識方法で税法を理解していると思い込んでいると大きな落とし穴にはまるかもしれません。そういう意味では税の世界ほど多様な解釈のある分野は珍しいのではないでしょうか。

そのようなリスクを少しでも減らすためには、「なぜ」と、問う会話をしてみると案外面白いかもしれません。その「なぜ」の答えが相手の思考方法を教えてくれるからです。

大切なことは、自分の当たり前が相手の当たり前ではないということであり、物事を考える時には、相手のモノサシで考えた上で自分のモノサシを使ってみる。その繰り返しが健全な懐疑心を醸成してくれるかもしれませんね。

 



税理士法人LRパートナーズ
代表社員 所長 小関 和夫

 

 

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