中小企業が生産性を向上するには

少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少による慢性的な人手不足、働き方改革や最低賃金の上昇、原材料価格の高騰など様々な環境変化により企業の生産性向上が増々重要になってきています。特に中小企業の生産性は中央値で見ても大企業の約半分という状況です。生産性を向上させることは中小企業にとって喫緊の最重要課題と言っても良いでしょう。生産性を向上させるには

①付加価値の向上による売上アップ
②業務の効率化によるコスト削減

が欠かせません。

今回は生産性向上に取り組んだあるりんご農家の事例※をご紹介します。

◆青森県でりんご園を営むM社は現社長が父から経営を引き継いだが、園内に何本の木が植えられていて、どこに何の品種があるかはすべて父の頭の中にあり、長年の知識と経験に基づき運営されていたため資産内容が把握できず、経営のしようもない状態だった。

そこで社長は一本一本の木の品種を調べてデータ化し「見える化」を行った。

すると品種による作業の手間の違いが明らかになり収益性の低い品種に手をかける時間を省き、栽培する品種構成を見直すなど効率的な栽培の検討を行った。

データの分析によって、低い労働生産性の改善がテーマになった。そこで生まれたのが、余計な実を未熟なうちに摘み取る摘果で処分していた実をシードル(りんごで作ったスパークリングワイン)として商品化することである。

商品化のアイデアをコンテストに応募し準グランプリを獲得、工場の建設やブランディングにかかる費用は補助金や政府系金融機関の融資で賄った。もともと処分していたものが現状で年間3千万円くらいの売上になったのである。

更に「超高密植栽培」という欧米流の栽培方法に試験的に取り組み、生産性のさらなる向上にチャレンジしている。農林水産業の労働生産性は全産業の中でも低いと言われる中、社長が目指すのは全産業平均以上の労働生産性である。

ご紹介したM社の事例はシードルの商品化により①付加価値の向上を図り、品種データを収集し、作業を「見える化」することで②業務の効率化によるコスト削減を実践しています。また、補助金や公的融資を活用することで中小企業の弱みである財務的脆弱性を補っています。生産性改善に向けた経営上のヒントになれば幸いです。

※事例はJ‒Net21(中小企業基盤整備機構サイト)から引用

 



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