労災保険の特別加入制度

労働者の業務上の事由または通勤による傷病等に対して、保険給付を行う制度として労働者災害補償保険法制度(以下労災保険)があります。労働者のための保険制度ですが、労働者以外で労働者に準じて扱うことがふさわしい人については、一定の基準を設け任意加入を認める特別加入制度があります。

具体的には、中小事業主・家族従事者、労働者を使用しない自営業者や海外派遣者が対象となり、それぞれに個別の制度が設けられています。

ここでは特に中小事業主等の特別加入について補足します。

♥加入条件

中小事業主等が特別加入するための条件は左記の通りです。

① 事業について労災保険が成立していること。
② 労働保険事務組合に事務処理を委託すること。
③ 特別加入の対象者は全て加入すること。

※①〜③それぞれ例外はあります。

♥保険給付

特別加入者の保険給付は、労働者と同様の業務に従事していた場合の負傷・疾病等が対象です。そのため中小事業主等の特別加入者が事業主の立場で行う業務(株主総会への出席等)については保険給付の対象となる業務として扱われません。

保険関係が成立していても現に労働者を使用せずに事業を行っている場合はその事業の業務に起因する業務災害は保険給付の対象外です。

特別加入者は、治療費や働けなくなった際の生活保障費など労働者とほぼ同じ保険給付が受けられます。ただし脳血管疾患及び心臓疾患の発見を目的とした二次健康診断等給付など一部の保険給付は受けることが出来ません。

♥保険料

特別加入者の保険料は、給与の金額とは関係なく保険給付基礎日額によって決まります。保険給付基礎日額は日額3,500円から25,000円の範囲内で定められた額を選択することが可能です。

選択した給付基礎日額は、休業(補償)給付等の計算にも使用されます。

高額な保険給付基礎日額を選択した場合、保険料も高くなりますが、保険給付金額も高くなります。

また特別加入は労災保険の制度のため、雇用保険に特別加入制度はありません。

業務災害等が発生しうる事業について、特別加入制度を検討されてみてはいかがでしょうか。

 



お問い合わせ

神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします