日本の財政・大丈夫?

FRBの利上げ

2020年春以来コロナ騒動で全世界中がコロナ対策で膨大な財政支援を行ってきた。

そのコロナがワクチン接種率の向上などにより収束に向かい世界はアフター・コロナの経済再建へ向けて動き出している。

コロナによる行動規制、人流・物流の停滞がある中、経済活動が活発になるにつれてインフレの進行が目立ってきた。

アメリカではこのインフレの進行が急速に進みFRB(米連邦準備理事会)では3月0.25%、5月0.5%、6月0.75%と矢継ぎ早に利上げを行い、なお今後も引き続き利上げを予定しており、今回の金利引き上げの予想到達点は年末には3.4%とも報じられている(6月16日付日本経済新聞夕刊)。

EUもアメリカの利上げを受けECB(欧州中央銀行)は、コロナ対策の金融支援を打ち切り、利上げの方向を打ちだし、世界中の中央銀行も利上げを実施している。ただ一人日本銀行を除いては。

追い打ち。ウクライナ侵攻

利上げ方向が鮮明になり、まさにFRBが3月に利上げをしようという直前、2月24日ロシアがウクライナ侵攻を始めた。専制独裁国家中国の台頭でグローバル経済がブロック経済へ移行しつつある中、コロナ禍に追い打ちをかけるウクライナ侵攻で今後の世界がブロック経済へシフトすることが決定的になったといえるのではなかろうか。

日本:国防予算はどうなる

ウクライナ侵攻は世界の核大国であるロシアが主役であったため、”力により現状変更を試みた” ロシアの行為がそのまま世界で容認されるようになれば、国際法を無視して ”力により現状変更を試みている” 中国が台湾有事への暴走を引き起こすかもしれないという懸念が生じ、日本政府も強い関心でウクライナ侵攻を注視している。

ヨーロッパでは、ロシアを「NATOに対する ”脅威” 」として戦略を変更し防衛費をGDP比2%まで増額、即応戦力を4万人から30万人に増員することが承認された。

日本でも、防衛費をめぐる財政支出が大きな政策課題として浮かび上がり、EUにならってGDPの2%の国防費(従来の2倍。約10兆円規模の防衛費)が必要であると取り沙汰されるようになってきた。

日本の財政は大丈夫か

6月30日付日本経済新聞では「指標で読む参院選争点」として「日本の債務のGDP比263%」「先進国で最悪の水準」と報じられていた。

いま、まだ続くコロナ特別支出の上にウクライナ侵攻の教訓として、台湾有事、自国防衛の防衛力の増強などが緊急の事態として検討が始まり、日本でも防衛予算のGDP比2%まで増額する検討が始まった。

7月1日付日本経済新聞によれば前年度の税収は過去最高の67兆円と報じていた。しかし、補正予算を含めて前年度の歳出規模は140兆円を超えており、税収はその半分にも満たない。

このような財政状態の中、さらに防衛費を上乗せできるゆとりがあるのであろうか。

いままでGDP比1%をめどに防衛予算を組んでいた日本がヨーロッパ並みに防衛費を増額しなければ、日本もウクライナのような侵攻の被害を受けてしまうのではないかと思わせる極めてリアルな映像が連日流されているのである。

財政破綻はいつ?

FRBは政策を早め、6月には0.75%(計1.50%)にも及ぶ第3回利上げを行い、年末までに3.4%を予定している。

これに対して、5月号にも書いたが、日本銀行の黒田総裁は3月「連続指値オペ(公開買い付け操作)を実施する」と宣言し、6月には「長期金利を『プラスマイナス0.25%程度』の範囲に収める金利抑制策についても『限界が生じていることはない』と言い切り、政策の修正観測を打ち消した」

これを受けた為替相場は1ドル115円から135円まで急速に円安に振れてきた。これから年末にかけてさらに広がる3%超の金利差に、日本経済・日本銀行は一人負けの状態になり、耐え切れず壊れてしまうのではないかと懸念している。

100兆円ともいわれるタンス預金をどう利用するか政府はどう考えるだろうか。令和6年(2024年)に予定されている渋沢栄一翁のご出馬を1年早めることも考えるかもしれない。

昭和21年の再来(インフレ・預金封鎖・ペイオフ・財産税)もあながち荒唐無稽な話ではない。


 

LR小川会計グループ
代表 小川 湧三

 

お問い合わせ

神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします