ふるさと納税

皆さま令和3年度の確定申告は済みましたでしょうか。今年度も新型コロナウイルスの感染拡大の中での申告となり、大変な点も多かったと思います。

今回は、確定申告での所得控除として多くの方が利用している「ふるさと納税」についてです。

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まず、ふるさと納税とは、2008年の税制改正によって導入された「都道府県・市町村への寄付制度」です。一般的に自治体に寄付をした場合、その寄付金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。しかし、ふるさと納税では原則として、自己負担額の2000円を除いた全額が控除の対象となります。

では、ふるさと納税がなぜ作られたのかご存知でしょうか。

この制度は、過疎化による地方自治体の税収減少・大都市との格差是正を目的として作られました。都会に住んでいても自分を育ててくれたふるさとに納税できる制度があってもいいのではないかという考えがきっかけとなったようです。

しかし、現在ふるさと納税による都心部からの税収流出拡大が問題視され始めています。

日本経済新聞電子版によると、東京23区を中心に多額の税収流出があり、市区町村ごとに寄付額から住民税控除額を引くと控除額の方が大きい「赤字」状態の自治体は、都内62市町村のうち56にも上るそうです。都心の税収が多いのは事実ですが、多くの人口を抱えている分、財源確保が必要となります。そのため、危機感を募らせている都心部は地方に負けず魅力的な返礼品を揃えたり、社会的な取り組みを行うなど流出の食い止めに力を入れ始めているようです。

多種多様な返礼品はふるさと納税の大きなメリットです。自分が選んだ自治体に自由な額の寄付が可能なため、返礼品を目的として寄付をする自治体・寄付金額を決める人も多いと思います。

しかし、同時に居住地域の税収がその分減少しているということも認識する必要があるでしょう。一度、自身の自治体の返礼品について確認してみるのもいいかもしれません。

今後、ますます自治体間での競争が激化していくのではないでしょうか。

《参考文献》

総務省:ふるさと納税ポータルサイト
『都内自治体、ふるさと納税増加目立つ流出額なお多く』2021年8月6日付日本経済新聞電子版

 

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