新型コロナウイルスワクチン接種への対応

1 いよいよ始まった国内のワクチン接種

国内でも新型コロナウイルスワクチン接種(以下、ワクチン接種)が始まり、今後の感染防止策の柱として期待されています。自社内で新型コロナウイルス感染を起こさないために、従業員に接種を勧奨していきたいとお考えの事業者も多いかと思います。

2 ワクチン接種は原則任意!

前述のとおり、国も感染防止策の柱としてワクチン接種を勧奨していますが、改定予防接種法においてもワクチンの接種は対象者への努力義務となっており、義務としては定められていません。

現状、ワクチン接種は原則個人の判断に委ねられています。政府は事業者が労働者に勧奨することを禁じる法律はないとしつつ、ワクチンは国民が自らの判断で受けるべきとの見解を示しています(内閣衆質204第35号令和3年2月19日)。ここから、事業者は労働者にワクチンの接種を勧奨することはできるが、命じることはできないと考えられます。また、執拗な勧奨は違法となりえます。

そもそも接種を延期するように指摘される予防接種不適当者、予防接種要注意者と判断される場合もあり、労働者に一律にワクチン接種を求めることはできません。

3 不利益な取り扱いは不適切

さらに政府見解によるとワクチン接種をしないことを理由とする不利益な取り扱いは、原則不適切であるとされています。

例)配置転換・減給・異動・解雇・業務の制限など

ただし、業種によっては必要性に応じて例外的に可能と解する見方もあります。

また、採用面接時にワクチン接種証明などを求めることも不適切であるとされています。

4 最後に

高い業務上の必要性や執拗な勧奨があった場合は、ワクチン接種による健康被害が労災認定される可能性もあります。

政府も努力義務を定めているとおり、事業者がワクチン接種に対して一般的な勧奨を行うことは問題ないと思われますが、ワクチン接種は、接種自体に健康上のリスクがあるため、任意の接種が基本であると理解し、他の施策と合わせて職場の感染防止を図っていく必要があります。

【参考文献】ビジネスガイド2021年6月号(日本法令)

 

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