SDGs と ESG投資

クローバー通信 No.190

「SGDs」という言葉を最近よく耳にしませんか?また、投資の世界では「ESG投資」が注目されています。

レジ袋有料化や電気自動車へのシフトなどもこれらの取り組みに関連する事柄です。

今回はこの「SGDs」「ESG投資」を取り上げます。

1 SDGs(エスディージーズ)とは?

Sustainable Development Goals持続可能な 開発 目標

貧困や雇用、気候変動など環境・社会問題を解決するための17の目標と、具体的な169のターゲットを定めたもので、2015年9月に国連サミットで採択されました。

SDGsは特定の人や企業のみが達成すべき目標ではなく、地球上に住む全ての人を対象としています。環境負荷の高いプラスチックごみ削減の為、小売店で義務化されたレジ袋有料化も、個人でエコバッグやマイボトルを持ち歩く事も、SDGsに関連した取り組みの1つです。

企業でもSDGsへの意識は高まっており、4社に1社(帝国データバンク2020年6月調査より)がSDGsを意識した企業活動に取り組んでいるそう。実際にSDGsの視点を企業評価に加える機関投資家も増えており、SDGsへの対応は、企業の社会的評価を向上させる手段としても必要になっていく事でしょう。

2 ESG投資とは?

環境・社会・企業統治の3つの観点から、企業の将来性や持続性を分析・評価した上で投資判断する事

Environment 環境 気候変動や環境汚染への対策

Social 社会 従業員・取引先の労働環境への配慮や女性管理職の積極登用

Governance 企業統治 社外取締役を増やし経営の透明性を高める取り組み

企業のESGへの取り組みは「コスト」ではなく「将来、企業価値を向上させる資産」として評価されるようになりました。ESGに取り組む企業は有望な投資先と判断される一方、ESGに取り組まない企業から投資資金を引き揚げるダイベストメント(divestment)の動きも大きくなっています。

例えば、不当に安い労働力で安くなっている商品と、環境や労働条件などに配慮し価格が高い商品とどちらを選ぶのか?フェアトレードはESGにかかわる取り組みのひとつです。SDGsにも直接関連し、「貧困をなくそう」「使う責任、作る責任」など特に8つのゴール達成に寄与しています。その他にも、女性やグローバル人材の積極的な登用、再生エネルギーの活用の取り組みなども挙げられます。

SDGs と ESG投資の違いとは?

SDGsもESGも国連から生まれた言葉であり、根本の考え方は近い部分があります。SDGsは人類の「目標」であり、ESGはその目標を達成するために企業が取り組むべき「手段」と言えるでしょう。企業のSDGsの取り組みは、企業のE(環境)S(社会)についての評価につながっています。

3 ESG投資を始めるには?

① ESG重視の企業への投資

各企業のESGに対する取り組みについては、有価証券報告書や統合報告書(企業の価値創造に対する方針や戦略などの資料)、ホームページなどで確認することができます。また、企業をESGの観点から評価して算出した以下の「ESG指数」を参考にすると良いでしょう。

• ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・ワールド・インデックス(DJSI World)

• MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数

• SNAMサステナビリティ・インデックス

• モーニングスター社会的責任投資株価指数(MS-SRI)

• MSCI日本株女性活躍指数

② ESG投資を重視した投資信託への投資

投資信託は、投資先の選定を専門家に任せる事で、複数の企業に投資できるのがメリットの1つです。独自のテーマや評価基準があるので、詳しい内容をよく確認してから投資をしましょう。

③ クラウドファンディング形式での投資

発展途上国の資金需要が旺盛な中小業者に対して、ソーシャルレンディング(ネット上でお金を借りたい人と貸したい人を結びつけるサービス)の仕組みを使い、投資をして利回りを得る方法です。小口資金で投資が可能です。

ESG投資での投資先は長期的な視点から選定されるため、比較的安定した運用が期待でき、長期の資産形成に向いています。

4 ESG目標付き融資

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)

事前に設定された目標の達成に応じて金利が変動する融資の仕組みです。借り入れた企業の行動変容を促し、持続可能な社会を実現する狙いがあります。国際組織であるローン・マーケット・アソシエーション(LMA)が2019年にSLL原則を定めてから欧米を中心に取り扱いが増えています。環境省で普及を後押ししており、国内ではこれまでメガバンクを中心に大企業向けに実施されてきました。

滋賀銀行では昨年秋、地方銀行として初めてSLLを単独で組成しましたが、組成した4件のうち3件が中小企業向けとなっています。

SLLは特定の事業ではなく、環境保護などの数値目標を銀行と企業が一緒に設定し、達成すれば融資金利を引き下げるので、ESG対応が遅れている企業や中小企業でも検討しやすいのが特徴です。

世界のSLLの組成額は、調査会社ブルームバーグNEFによると、20年に約13兆円、日本では累計で1,500億円にとどまるものの、今後最も重要な手法の1つになると見られており、融資を受けるためには、ESGへの取り組みが不可欠となるかもしれません。

まとめ

国連加盟国が達成を目指すSDGsですが、Sustainable Development Report 2020では2020年時点の各国のSDGsへの取り組みがスコア化され166カ国が公表されています。上位3カ国は、スウェーデン・デンマーク・フィンランド。このルール作りは欧州が先行しているため、15位までをヨーロッパの国々が占めています。日本は全体で17位、特に「災害に負けない強い街をつくろう」を目標に掲げています。

日本にとって難しい取り組みもあります。また今ある情報が必ずしも正解とは限りませんが、この流れは避けられず、ESG投資がスタンダートとなり、対応できない企業は淘汰されていく事でしょう。

今後、環境や取り組み方は変化する可能性がありますが、私たちの行動や買い物ひとつひとつが、様々な選択によってSGDsやESG投資につながっていく事を意識していきましょう。

 

 

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