テレワーク導入費用の課税関係

もともとは「働き方改革」で政府が広めようと試みていたテレワーク(リモートワーク)ですが、新型コロナウイルスの影響により導入が加速されており、最近では、恒常的な対応として、在宅勤務を推進する企業が増えてきました。

自宅でもオフィスと同様の環境で仕事ができるよう、業務に必要なPCや机、椅子、モニターなどを会社の負担で用意するケースも多いと思いますが、留意したいのは現物給与として課税を受ける可能性がある点です。

会社で調達して従業員宅に送ったり、従業員自身が購入して事後精算するなど、物品の調達形態は様々ありますが、従業員に「支給」する形になった場合には、原則、給与課税の対象となるため留意する必要があります。

♦「支給」であれば現物給与として課税

在宅勤務を行うために必要な物品は、業種・業態や、その個人宅の状況などにより異なりますが、一般的には、下記のものなどが考えられます。

☆従業員が在宅勤務を行うための

PC、机、椅子、卓上ライト、モニター、プリンター、パーテーション、Web会議用ツール(Webカメラ、ヘッドセット等)など

こうした物品を会社の負担で用意した場合、懸念されるのは現物給与として課税を受けるか否かです。

所得税法上、給与所得を有する者がその使用人から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるものは非課税所得とされています。

しかし、政令若しくは政令を踏まえた通達で示されている非課税物品は限定的であり、上記のような物品は対象となっていません。こうした在宅勤務を行うために必要な物品を「支給」した場合には、コピー用紙など少額な消耗品を除いて、原則、現物給与として課税の対象になるということです。

♦「貸与」であれば課税なし

一方で、在宅勤務を行うために必要な物品を「支給」ではなく「貸与」した場合には、その物品は会社の資産となるため、基本的には、現物給与として課税されることはないということです。

ただし、「支給」なのか「貸与」なのか判然としない場合、税務調査で指摘されるリスクもあります。会社側で台帳を作って管理するなど、業務で使用するために会社が従業員に「貸与」していることを明らかにしておくべきでしょう。

♦従業員が購入して実費精算の場合も「貸与」であれば課税されず

ところで、最終的に会社からの「貸与」とする場合であっても、必要な物品を会社が購入して従業員宅に送付するのは手間がかかるため、従業員が自分で購入し、後で実費精算するケースも多いようです。

この場合、会社から支払われる金銭は非課税所得に該当せず、給与課税されるのではないかと不安視する声もありますが、これは、単に会社が購入すべきものを従業員が立て替えたにすぎないため、給与課税は生じないということです(「支給」した場合には、原則、現物給与として課税)。

♦渡し切り支給の場合は給与課税

一方で、例えば「在宅勤務を行う環境を整えるため」などとして、会社が一定額を支給するケースもあるようです。こうした事後精算を行わない “渡し切り” 支給の場合については、給与として課税されることになるため留意が必要です。

《出典》税務通信  2020年10月12日

 

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