証券投資の目的と注意点

クローバー通信 No.181

ネット証券などで口座を開設する人が増えていると報道されています。

新型コロナウイルス拡大の影響で3月には大幅に下落した株式相場ですが、「投資を始める好機」ととらえた人が多かったようです。

今回は証券投資をする場合の注意点や、目的に合わせた商品選びについて確認していきましょう。

はじめに ◆投資は自己責任◆

人がやっているから、人に勧められて、何となく証券投資を始めた人も多いのではないでしょうか?証券投資は、価格が変動し、元本保証がある商品は少ないので、商品内容について自分で確認し、理解する事が必要です。

どんな目的で何に投資をするか、どうやって保有していくか確認しましょう。

目的1 企業を応援したい

「身近な商品・よく使うサービスのある企業を応援する」

株主となることで日頃自分がお世話になっている企業を応援すると同時に、配当や株主優待を楽しめます。反面、業績が悪くなると配当が出ない・株価が下がり資産として目減りする可能性もあります。定期的に株価や会社の業績をチェックする事が必要です。

① 株式(個別銘柄)を保有 鉄道・航空・食品・外食・テーマパークなど

<選ぶポイント・注意点>

投資

○ よく知っている、情報が得られる企業を選ぶ

○ 経営が安定しているか、財務状況や業績をチェックする

目的2 気になる銘柄へ投資をして利益を出したい

「これから成長しそうな企業に投資をする」❖ 5G、AI(人工知能)、ESGなど

投資

個々の企業や業種には繁栄と衰退のサイクルがあります。大企業・良く知っている企業が10年後、20年後も成長産業とは言えない可能性もあります。必ずしも長期保有が良いとは限りません。様々な指標を分析し、大きく利益がでた・株価が実態以上に高騰した場合は、売却し利益を確定する事も必要です。

① 株式(個別銘柄)を保有 
② テーマ型の投資信託 を保有

<選ぶポイント・注意点>

○ 自分で情報を得て、判断できる銘柄や商品に絞る

○ 自分で機動的に売買ができる環境を整える

目的3 定期的な収入を得たい

生活資金や、固定資産税の支払いにあてるなど収入を得ることが目的の場合、債券に投資し、定期的に利息を得る事が定番の手法です。しかし低金利下の今、日本債券だけでなく海外債券も金利が低下し、魅力ある商品が少なくなっています。低下する金利収入を補うために、信用力の低いジャンク債が組み入れられている可能性があるので注意が必要です。また、将来金利が上昇すると見込まれるときの債券への投資はあまり得策とは言えません。

では国内債券の代わりに何に投資をするか…

① REIT(不動産投資信託)

株式と同じく、3月には大幅に下落したREIT市場ですが、物流や5G対応のインフラ整備など、今後も安定した利回りを期待できる銘柄もあります。

② 配当性向の高い株式(個別銘柄・投資信託)

配当性向とは、会社が事業によって得た利益をどのくらい株主に還元しているかを表す指標です。高い場合は、株主に多くの利益を還元していると言えます。株価は変動しますが、日本の大型株には、財務内容が良好で収益基盤が堅固、予想配当利回りが4%超に達している銘柄があります。

<選ぶポイント>

○ 収益力や財務基盤がしっかりしている企業の株式やファンドを選ぶ

<共通するポイント>

株式・投資信託・REITとも価格は変動します。特に個別銘柄では経営が安定しているか、財務状況や業績のチェックは欠かせません。また、生活資金に影響のない余裕資金の一部を充て、購入するタイミングに注意し、下がった時に追加で購入できるよう資金を残しておくと良いでしょう。

目的4 将来に向けて資産形成したい

「積立投資で、リスクを抑えて時間を味方につける」

老後資金、子供の教育費など将来に向けて資産形成するには、投資信託(ファンド)を利用した定時定額の積立投資がおすすめです。積立投資であれば、価格の変動が大きいほど、割安の時に口数を多く取得することができ、平均取得単価を下げることができます。

基本は株式に投資する投資信託、10年以内に資金化が必要な場合は債券型も組み入れるとよいでしょう。つみたてNISAで採用されている銘柄は、金融庁により投資家目線で選ばれているので参考になります。10年以上運用できるのであれば、多くの場合元本割れにならないというデータがあります。

一喜一憂せずに保有しましょう。

リスクを分散するには、銘柄の分散 と 時間の分散

○ 市場全体・国単位・地域毎に投資する ○ 定時定額積立

市場全体に投資するインデックス型の場合、取引所や指数は、構成銘柄の見直しが定期的に行われ、元気な銘柄への乗り換えができているので、倒産リスクを軽減する事ができます。国や地域も同様です。

<選ぶポイント・注意点>

○ 長期保有を志すファンドを選ぶ

○ 継続的に資金流入があり、資金流出の少ないファンドを選ぶ

○ 手数料(購入手数料・信託報酬)の安いファンドを選ぶ

株価(株式)と  基準価額(投資信託)

株  価:需要と供給により市場で価格が決定される為、根源的な価値によって算出される適正価格があり、高ければ売られ、安ければ買われ、いずれ適正価格に収れんされていきます。ただ保有するだけではなく、良い企業を選び、高値で売り安値で買い戻す事は株式投資では一般的な手法です。

基準価額:受益権1口あたりの純資産総額であり、市場価格ではなくファンドの規模を示しています。株式とは違い、適正価格が存在しないので、割高割安で売買するという事は適さないのです。また、ファンドマネージャーなどがその商品の中で、銘柄選定やリバランスを行っているので、頻繁な売買をする必要がないのです。

積立投資でリスクが分散されても、価格の変動が気になって下がったら売ってしまうのであれば、効果も出にくく、何より心理的負担を感じる事になってしまいます。

自分のリスク許容度を把握し、負担に感じる場合は、金額を小さくする、もしくはやめる選択肢もあるでしょう。

積立を開始しても、経済状況などにより数年はなかなか成果が出ない場合があります。また資金化する場合、タイミングは重要です。実際に必要な時期より前から段階的に売却して債券又は定期などにシフトしておきましょう。

まとめ

投資とは将来が有望な投資先に長期的に資金を投じることです。相場の変動を利用して利益を得ようとする短期的な取引は投機です。良く知らずにニュースで動くと高値掴みで売るに売れないといったケースはよく見られます。

リスクのある商品だからこそ、投資をする目的をはっきりさせ、目的に合わせた商品選びが必要です。

預金だけ保有していることがリスクとなる場合もあります。自分で納得して投資をする事が大事です。

 

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