会社役員賠償責任保険

経営者が事業を引き継がせる(手放す)ことには不安があるのと同様に、後継者側としても、社内外のより広い範囲に対して責任を負うようになることが大きな不安となり、円滑な事業承継の障害となっている場合があります。

責任が増す後継者の不安に備える対応策として、今回は「会社役員賠償責任保険(以下、D&O保険)」を取り上げたいと思います。

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会社の役員には、会社や株主、取引先等の第三者に対して損害を与えないよう忠実に業務に取り組み、経営判断することが求められます。ただし、会社を発展させるためには、時にはリスクを取った意思決定が必要となる場面も出てくるでしょう。そこで、会社の役員が会社、株主、取引先等から損害賠償を請求された際に賠償金等の損害を補償してくれる保険が、D&O保険です。

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D&O保険では、訴訟費用や弁護士費用等の「争訟費用」や損害賠償金等が補償対象になります。ただし、契約内容や免責事項により補償対象とならない場合もあるので注意が必要です。

また、損害賠償は損害の発生から10年間は請求される可能性があるため、D&O保険は、保険期間開始の10年前の行為まで補償対象となる点が大きな特徴です。

さらに、このD&O保険の保険料を会社が負担した場合は、従前は役員への給与として所得税が課税される取扱いとなっていましたが、平成28年の国税庁の回答より、「取締役会の承認」「社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得」を得た場合には、全額損金として計上できることになりました。

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企業の役員が不祥事を起こして訴えられる、といったニュースを耳にすることも多くなり、D&O保険の契約件数も年々増加し、平成30年には年間1万件を超えている状況です。会社の役員である個人を守るため、企業存続のため、また後継者の不安を解消するためにも、争訟に対するリスク管理の一つとして、このD&O保険について検討してみてはいかがでしょうか。

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