女性が働きやすい職場に向けて②

《時間単位有休》

1 時間調整の仕組みが課題

25歳から55歳のいわゆる子育て世代の女性の就業率は、ほかの年齢に比べ落ち込んでおり、人数にすると約100万人がいったん仕事を離れています。

就業していない人を対象にした調査では、女性の場合、約30%の人が「育児のため」を、約10%の人が「勤務時間等の希望に合う仕事がない」を理由に上げています。これは割合として男性の約2倍です。

非正規雇用で働く理由を尋ねた調査でも女性では、「自分の都合のよい時間に働きたいから」が一番多く、約30%がそのように回答しています。女性の活躍のためには、労働時間の調整をできる仕組みが必要だと考えられます。

2 解決策のひとつとして時間単位有休

時間単位有休とは、法定の年次有給休暇のうち、5日分を上限に1時間単位での取得を認める制度です。子育て期には、子供の通院等で早退や遅刻をすることは多く、とても使い勝手のよい制度となっています。しかし、実際の導入は2割程度ですからこれから取り入れる職場が増えていくと思われます。

3 導入に必要な手続き

時間単位有休制度を導入するには、労使協定を締結する必要があります。その後に就業規則への記載も必要となってきます。就業規則を変更した場合は、労働者への周知と労働基準監督署への届け出が必要です。労働基準監督署への届け出の際は、従業員の過半数を代表する従業員からの意見書を添付します。

4 最後に

時間単位有休は、使い勝手がいい制度ですが、時間単位で取得した有休は、有休取得義務化の5日にはカウントされないなどのデメリットもあります。

しかし、晩婚化で育児と介護のダブルケアをする必要のある家庭も増えてきています。高齢化もあり、ますます家庭内の育児・介護等家事労働の負担は増えていくと思われます。時間単位有休を使えば女性だけでなく男性も丸1日休まずとも育児等に参加ができるようになります。

諸外国の状況を見ると男性の育児・家事参加の進んでいる国は、女性の活躍も進んでいて、出生率の回復も見られますので、企業の社会的責任(CSR)の一環として取り入れてみてはいかがでしょうか。

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