民事信託(家族信託)の活用

信託

「信託」とは資産を保有している者(A:委託者)が、一定の目的のために、その保有する不動産や預貯金等を信頼できる者(B:受託者)に託し、その資産の管理や処分を任せる仕組みです。信託財産から生じた利益を得る人を(C:受益者)と言い、委託者と受益者を同じ人に設定することで贈与などの課税関係は生じません(自益信託)。

民事信託

民事信託

「信託」というと、免許を持つ者が営利目的で行う、商事信託をイメージする方が多いと思いますが、民事信託は、まったく別のものと考えてください。84年ぶりに信託法の大改正が行われ、平成19年9月30日に施行された新しい信託法では、営利を目的とせず特定の者から単発的に信託を受託する民事信託(家族信託)が活用できるようになりました。このことで、相続や事業承継対策の新しいツールとして注目されています。

高齢化社会が進み、資産を保有している高齢者も少なくありません。高齢になり、認知症が進んでしまうと、意思決定ができなくなり、成年後見人制度を利用することになります。

この制度では、後見人は毎年、被後見人の財産の内容を家庭裁判所に報告する義務があります。資産の処分を行う際には、家庭裁判所の許可を得なければなりません。また、後見人は被後見人の資産の管理と保全が職務ですから、贈与などの相続対策はできなくなってしまいます。

これらの問題を解決し、認知症になった後の対策にも有効なのが、民事信託です。遺言の代わりに信託を活用することもできますので、いわゆる「争族」対策にも有効です。信託の契約は自由ですので、信託契約で承継者を指定することができます。遺言でも承継者を指定しますが、信託では、その次の承継者、またその次の承継者…など先のことまで決めることができるのもメリットです。

注意しなければいけないのが、信託も契約ですので、認知症が進んでしまってからでは信託を活用することはできません。そのようになってしまう前に信託契約をすることが必要となります。

 


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