収益力の判定と安全経営
❖損益分岐点比率
地震に対する家屋の耐震性と同じように、企業利益の耐震性(収益力)を判断する指標として損益分岐点比率があります。
この損益分岐点比率は粗利益総額に対する固定費の割合(固定費÷粗利益総額)%です。
ここで言う粗利益は売上高から商品・材料費・外注費の原価を控除した金額です。詳細は後日、機会があれば触れてみたいと思います。
100%なら損益ゼロ、100%未満なら損益分岐点比率は低く利益、反対に100%を超えていると高く損失の状態です。
損益分岐点比率が低いほど利益の幅に余裕があり、企業の利益体質が強いことを表します。反対に高いほど利益に余裕がなく、利益体質が弱いことを表します。
外部環境・内部要因などで、売上が減少(販売個数の減少・販売単価の低下)原価の増加(仕入・外注単価の高騰・仕損発生)等で粗利益が減少した場合、どの程度まで耐えられるかという利益の耐震性(耐震構造=利益構造)を表しています。
一般的に損益分岐点比率が 80 %な ら健全な経営状態と言われています。
この利益構造では粗利益(売上高ではありません)が 20 %減少(100%-80 %= 20 %これは経営安全率と言われています)しても損益ゼロで赤字にはなりません。
損益分岐点比率が 90 %を超えてく ると景気が少し悪くなると黒字から赤字になってしまいます。経営目標を 80 %以下にして収益力を強化しておきたいものです。
❖安全経営
損益分岐点比率が 70 %経営安全率は30 %なら本当に安全経営なのでしょうか。
ここまで見てきたのは粗利益総額・売上高総額です。粗利益と売上高の内容は見ていません。
極端な例ですが、売上先が一社で売上総額の 90 %占めているような場合はどうでしょうか。売上先の景気が向上すれば、当社の受注額を増加して利益も増加する可能性も有ります。この反対の場合は損益分岐点比率がたちまち100%を超えてしまうかもしれません。
このように損益分岐点比率の 70 % だけを見ていては真の利益安全度の判断を誤ってしまいます。
企業の収益力の検討には損益分岐点比率と売上構成の検討が重要になってきます。
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