相続Q&A【土地の評価編】貸家建付地
【Q】
母が亡くなり、母名義の古いアパートを相続するこ とになりました。もう古いので 10 部屋中半分の5部屋は1~2年程前から空室になっています。リフォームもしていない状態で入居の募集もしていませんでした。この土地の相続税評価はどうなりますか。
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【A】
土地も建物も所有者が同じで、貸家やアパート・マ ンションのような共同住宅の敷地になっている土地を貸家建付地と言います。このような貸家や部屋を借りている人(賃借人)は借家権という権利を持っています。
建物を使用するということは敷地についても必要な範囲でその敷地を使用する使用権があると考えられています。もし建物を取り壊して再利用しようとすると、賃貸人に立ち退いてもらうことになり、一般的には立退料等の支払いを要します。
土地、建物を譲渡しようとした場合は利用上の制限を受けている状況にあるので、土地は更地価格よりも低い価格での取引になることも考えられます。このような土地の評価額を算出する場合、借家人の権利に相当する価格を控除することができます。
国税庁が発表している借家権の割合は関東地方が30 %、土地の借地権割合が 60 %の地域だとすると、 30 %× 60 %で 18 %の 控除ができます。更地価格を100%とすると 82 %の評価額になりま す。相続の時の評価額は約8割ということになります。
〈算式〉
自用地価格―自用地価格×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
♡注意
このケースのように古いアパートで、相当の期間空室があり、すぐに新しい入居者が入れる状態になっておらず、募集もしていないという状態の部屋がある場合は、貸家扱いにはならず、その分の控除ができないことになります。
今回の建物はこれにあたり、 10 部屋中5部屋分だけが貸家に該当しますので、控除できるのは半分の9%ということになります。相続開始の少し前に部屋が空いてしまっていても、その後次の入居者が直ぐに決まったという場合は貸家扱いになります。また、空室があっても不動産会社等に一棟全部を貸している場合(借り上げ等)は全体が貸家扱いになり 18 %の控除 ができます。
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