GDP600兆円

新経済戦略

200_会長_opt10 月6日安倍首相は第三次安倍政権の発足に伴って「新三本の矢」を発表した。

第一の矢は「希望を生み出す強い経済:GDP600兆円」、第二の矢は「夢を紡ぐ子育て支援:出生率1.8」、第三の矢は「安心に繋がる社会保障」:介護離職〝0〟」の3本である。

アベノミクスは第一の矢「異次元の金融緩和」第二の矢「機動的な財政出動」は一応の評価は受けて、民主党政権時代とは比べ物にならないくらい明るいムードになっていることは多くの人が認めているところである。それは本命の第三の矢「持続性のある成長戦略」が動きだすまでの補助ブースターと大方の人は理解していたと思う。

この第一次の経済戦略の本命である第三の矢の成長戦略がこれから本格的に取り組んでいかなければならない時に、「新三本の矢」が出たのである。アベノミクスの本気で取り組んでも難しい本命の「第三の矢:成長戦略」は焦点を失った。

平成 28 年度に向けた予算編成の情報に注目しているが、財政再建の要である社会保障(年金・医療費・介護)には具体的な取り組みが見えてこず、医療費は 40 兆円を超え過去最 高を更新し、まだまだ伸び続ける模様で、歳出削減による財政再建の道筋は明確には見えてこない。

財政状況の深刻度

「新三本の矢」では財政再建を経済成長によって実現しようとしている。2020年GDP600兆円という目標は財政再建を経済成長で行うということを端的に示しているのである。

しかし、黒田日銀総裁は2月 12 日 の経済財政諮問会議で成長戦略による経済成長によって財政再建ができると主張する発言者に対して猛然と反論したという。

外国の日本の財政を見る目は非常に厳しく日本の国債はリスク資産として見る必要がある。このままでいけばいつ日本国債の売りが始まってもおかしくはない、という趣旨の発言をしたといわれる。

「2014年末のムーディーズに よる日本国債の格下げに伴い、欧州の一部の銀行が日本国債の購入を控えたり、手放している」と現実に日本国債が敬遠され始めていると説明。その上で「格付けが良くならないと邦銀でも同様の動きが広がる懸念があり、2020年度のプライマリバランスの黒字化にもっと本腰を入れて取り組むべきだ」と主張、さらには「このままでは日本国債を売るという議論が出るしかありません。いつまでも日本国債は問題がないという考えは今や通用しないという話です」と極めて重い警告を述べたと云われる。

これを追い討ちするかのように 10 月9日の新聞は欧州銀行監督局が国債の「リスクゼロ」を転換し来年度の資産査定から「銀行に国債保有制限」を課すことを決定したことを報じている。

成長戦略で財政再建ができるか

また、 10 月3日のセミナーでは慶応大学の小林慶一郎氏はラインハートとロゴフの研究を引用されて、「公的債務がGDPの 90 %を超えると経済成長率が1%低下する」したがって公的債務の累積が経済成長を押し下げるならば、『成長が先、財政再建が後』は成り立たない」「先に成長したくても、公的債務の重石のために成長できない」したがって「成長戦略と同時に財政再建にも着手すべき」であると講演されていた。

安倍政権二つの不安な話題

安倍政権への不安は第三次安倍政権の誕生の前後にいくつかの情報が流れてきていることである。

一つは、「安倍政権、デノミを検討」「安倍政権、安保法制の次はデノミか」というデノミに関する記事であり、もう一つは「安倍政権来年の参議院選挙は消費税増税延期で戦う?」という記事である。

真偽はともかく、この二つの話題は国民にとっては簡単に見過ごせない非常に恐ろしい話である。

デノミは戦後に実施された預金封鎖→デノミ(新円切替)→財産税→ハイパーインフレへの連想を掻き立てる。

消費税増税延期は、黒田日銀総裁も警告しているように、日本政府に財政健全化の意思なしと判断し、直ちに日本国債の大幅な格下げが予見され、国債暴落の引き金を引きかねない。

自然災害は国家が総力を挙げて国民を守るが、デノミ・財産税など経済災害に対してはマイナンバー、出国税など国民をがんじがらめにして逃げられないように準備を着々と進めているように見える。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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