第3話 マネすんな
滝田式経営熟語帖 No.97
「本田宗一郎との叱られ問答」岩倉氏全52話への滝田の挑戦!
第3話 マネすんな 社友 岩倉信弥氏の52話「千字薬」より
【私 見】
真似して育つもあるし、逆に真似されるような製品をつくろ うといういい方もある。競争相手をベンチマークして競いながら進歩することもある。オリジナルを思うと独自性、唯一 無二のものを目指す熱意もあろう。その時々の企業文化での 対応があろう。
【本書要約】
1950年の終わり頃、「ホンダスーパーカブ」が大ヒットした。クラッチレバーがなく片手運転ができるので、蕎麦屋の出前や新聞配達など、大変な評判となる。
他社もこれに追随 してY社のカブ、S社のカブと呼ばれる。このころ意匠権が意識されはじめ、係争の結果ホンダが勝利する。当時で数億円を、相手会社がホンダに支払う羽目となった。が、社長の本田さんは、ホンダが創ったとわかればそれでよいとして、お金を受け取らない決定をした。
とらぬ狸を決めていた営業、生産、開発の重役は悔しがったと聞く。 翌朝の新聞はこれを大きく取り上げた。これによって世間は、やはりホンダのオリジナルだったと知る。
本田さんの思い切った決断によって、かえってホンダの独自性が世に認められることになり、同時 に社内にも独創性の重要さが強く意識付けられた。
1964年に新入社員となった私たちは、真似は絶対にしてはならないという強い覚悟をもった。定年を迎えるまで、その気持ちは変わらずに持ち続けた。今でも、本田さんの「マネすんな」という声がきこ えてきそうだ。
【判 定】
いや~痛快です。数億円を受けとらない、その宣伝効果は数億円超でしょう。
井上達彦 著 「模倣の経営学 ~偉大なる会社はマネから生まれる~」
〜 抜粋・要約 〜
「模倣は独創の母である」モーツアルトは他人の音楽を模倣することから始めて、ついには独創的な音楽を生み出した。クロネコヤマトの宅急便は、牛丼の吉野家から「取り扱う商品の絞り込み」という アイデアを思いついた。
模倣は独自性とか創造性と逆と思われがちだが、独自性の追求にも模倣の力がいる。 レンタルショップのTSUTAYAは金融業界にたとえて、アイデアを生み出した。 缶コ―ヒーのUCCと日本コカコーラーのジョージア。
パナソニックも模倣製品の投入でシェアを拡大する。ミネラルウオーターの宅配は富山の薬売りの薬箱の モデルで。ローコストキャリア(格安エアライン)のライアン エアやエアアジアは米国のサウスウェスト航空を単純に真似る。
グラミン銀行は既存の銀行システムを反面に無担保・少額融資を起こす。ジョンソン&ジョンソン(J&J)は医療消耗品から、使い捨てコンタクトレンズのアキュビューを起こす。自らを反面にして新球団を築いた、米国のメジャーリーグ球団、オークランド・アスレチック スなどが紹介される。
☆模倣・マネは自尊心に反すると思ったが、マネは ライバルつぶしの戦略だ。大塚製薬の「ポカリスエ ット」に対しコカコーラの「アクエリアス」など区別がつかない。
マネは同質化を招き、その差別化を無効にする、とは限らない。 コクヨとアクスルもある。アサヒビールは「スーパー ドライ」でキリンに挑み、キリンは「キリンドライ」 で対応するがシェアで届かず。
マネは強者が弱者をつぶす戦略にもなる。逆に小が大を、後進国が先進国を、生徒が先生を凌駕?することもある。模倣の経営は知の探索か?でも、マネすんな!と言いたい。
税理士法人LRパートナーズ 代表社員 滝田 司
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