「X-DAY」プロジェクト

自由民主党の「Xデー」プロジェクト

7月号でシンガポール航空で見て驚いた〝相棒シリーズ『X-DAY』〟のビデオについて報告した。

「X-DAY」については2011~2012年にかけてギリシャの財政破綻が表面化したことから、ギリシャよりもはるかに財政状況が悪い日本も注目されるようになった。

日本の財政状況は、800年にわたる国家のデフォルトを研究した「国家は破綻する」「エンド・ゲーム」等の著書によれば、「日本の財政破綻は起きるかどうかではなく、いつ起こるかだ」 と見られているのである。

9月11日号の週刊エコノミストの「問答有用」欄に〝相棒シリーズ『X-DAY』〟を作成した桜井武晴氏のインタビュー記事が掲載されていた。

自由民主党が「X-DAY」プロジェクトを立ち上げて「X-DAY」が起きた時のシミュレー ションをしていたのを知って、当時頻発していた金融機関のシステム障害の報道にヒントを得て、そのシステム障害と「X-DAY」とを結び付けて作成したのだという。

調べてみると自由民主党は平成 23年6月1日付で「X-DAY」プロジェクトの報告書を発表し、ホームページに公開していた。

また、その半年後の平成 23年 11月の月末に、日本の財政破綻とその後の日本再生をテーマにした 「もし、小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』をよんでいたら」 (池田信夫著)というマンガの本が出版されたが、今この「X-DAY」 プロジェクトの情報と照らし合わせると、この問題に対する関心の深さや深刻さ、これら一連の著作の平仄(ひょうそく)が理解できた気がする。

アベノミクスは 「X-DAY」を回避できるか

その後、平成 24年 12月の年末安倍政権が誕生し、安倍首相は「財政再建」 「デフレ脱却」の政策目標を掲げて発足した。

「アベノミクス」の三本の矢の第一の矢は日銀総裁に黒田氏を据え異次元の金融緩和を素早く実行した。第二の矢は補正予算を組んで災害に強い国土強靭化政策を実行に移している。第三の矢はデフレ脱却の本丸ともいえる成長戦略は国会の議論を経て着々と進めているところである。

しかし、第一の矢の金融政策や第二の矢の財政政策はバブル崩壊以来何回か実施されてきたが効果が続かないといっても過言ではない。したがって、今行われている〝異次元の金融緩和〟も〝国土強靭化財政政策〟も短期的な効果は期待できるにしても、デフレを脱却し持続的な成長に繋がるかどうかは第三の矢である成長戦略を待たなければならない。

期待すべき第三の矢は今始まったばかりだが、そこに「東京オリンピックの誘致」という応援団が現れていて「期待」に訴える政策は成功しているかに見える。

備えあれば憂いなし

しかし、新聞報道によれば、黒田総裁は消費税増税に絡めて〝債務のGDP比率が220%、230%ならばともかく300%、500%、1000%となれば、政府、日銀でもなすすべはない〟という趣旨の発言をし、消費税増税を強く求めたといわれている。

黒田総裁も日本の現状を憂慮しているのである。「X- DAY」プロジェクトの設置といい一歩間違えれば一瞬にして「X-DAY」が訪れるのである。

3・11 東日本大震災は想定外であったが、これを教訓に、これから想定される「南海トラフ地震」の最大被害予想が死者 35万人に改定され、減災対策を講じれば6万人強に減少させることができるとしている。

自然災害には政府は当然のことながらできる限りの対策を考えるが、「X-DAY」 のような経済災害については政府は国民に知らせず、逆に逃げ道を塞いでしまうのである。

「X- DAY」は自然災害と異なり〝想定外〟ではなく、完全に〝想定内〟の事柄であり、被害は大地震の比ではない被害を国民にもたらすものである。

「備えあれば憂いなし」 で、アベノミクスの成功を願いつつ、「X-DAY」についても準備を心がけることは自然なことである。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 

 


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