APEC中小企業サミット

APEC中小企業サミット

No140_133212今年はAPEC日本サミットの年で、日本の各地でいろいろなテーマで会合が行われている。そのメインであるAPEC首脳会議が今月 13 ・ 14 日、横浜で開催されるが、その前の 10 月 2・3日にはAPEC中小企業大臣会合が開催され、首脳会議前日の今月 11 日にはAPEC中小企業サミットが横浜ロイヤルパークホテルで開催される。

中小企業の問題が国際会議で取り上げられることは、中小企業に係わるものとして喜ばしいことである。

中小企業の成長と発展はアジア成長戦略のカギ

APECではここ数年アジアの成長戦略をテーマに取り上げてきており、中小企業をアジア成長戦略の中核として位置付けている。

一つは、中小企業は雇用の重要な源泉であること、二つ目は技術革新の中心的な担い手であることとして、中小企業の継続的な成長と発展が、APEC成長戦略実現のための「カギ」であると位置付けているのである。

そのうえ、これからの中小企業の課題は①中小企業の高成長分野への参画 ②中小企業の世界市場へのアクセスをあげ、アジア全域を対象としてグローバルな活動を期待している。

日本における中小企業の現状

ひるがえって、日本における中小企業の現状を見るとき、惨憺(さんたん)たるものがある。2001年の大企業の生産拠点の中国移転による産業空洞化は、私たちのお客さまである下請製造業を倒産や廃業に追い込んだ。

2008年のリーマンショックとその後の円高によって、それまで必死で頑張ってきた限界企業の廃業が相次いでいるのが現状である。また、APECでは中小企業の世界市場へのアクセスを重要課題としているが、日本では長引くデフレによる経済の停滞が深く 反映して内向き志向が顕著になっている。

原因は、経済の停滞による将来の見通しの不透明さからチャレンジ精神を喪失していることであり、また、豊かさに馴れハングリー精神を喪失し、リスクに対する極端な警戒心や失敗をおそれることである。

日本の課題:中小企業の活性化へ向けて

日本の中小企業を活性化するにはどのようにしたら良いのであろうか。私たち日本人もかっては産業がないために海外移民政策を採ったことがあったが、いまではブラジルやチリなどから移民した人たちの二世、三世の人たちが日本の中小企業へ仕事も求めてくるまでになっている。

これからはグローバル化した経済活動の中で日本の中小企業は世界へ、アジアや発展途上国へ積極的に進出し、そこで仕事を作り出し、大企業群とは違ったリーダーとして雇用を創出する時代に入ってきたのかもしれない。

しかし、このような進出は中小企業単独では困難なことは今までの進出事例を見れば明らかである。海外進出のためには、かって大田区がベトナムのタントワン工業団地やタイの工業団地へ中小企業を集団で進出させたように、中小企業の海外進出にあたっては護送船団方式のような国家戦略として中小企業の国際進出を支援する仕組みを作る必要がある。

APEC 中小企業大臣会合での「政府の役割」として提案されているように、中小企業の物的インフラの整備や技術情報、マーケット情報や進出国の法制度、会計制度、雇用労務制度、風俗習慣などカントリーリスクに関する情報インフラの整備などを国家戦略として取り組んでほしい。

グローバル化に対応する仕組みとして日本学校の開設や新ふるさと税制などを提案してきたが、中小企業サミットを機会に政府が 「中小企業の成長と発展が成長戦略の鍵」と明確に位置づけて、中小企業が安心して海外進出できる「ブロードバンド」を作ることを望む。

税理士法人LRパートナーズ 代表社員 小川 湧三

 


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