生前贈与の活用 2 ~贈与のスピード~

前回は生前贈与についてお話ししました。今回も引き続き贈与についてお話ししたいと思います。

今回のテーマは贈与のスピードです。

まず例を見てみましょう。 前回と同じく相続税の時に適用される税率が 30 %になる 財産をお持ちの方について、毎年(a)100万円ずつ贈与していく場合(b)500万円ずつ贈与していく場合を比較してみます。

(a)の場合は

1年当たりの贈与税は110万円の基礎控除の範囲内ですからかかりません。これに対して(b)の場合は1年当たりの贈与税は53 万円です。

3年後に相続が発生したとすると、(a)の場合の相続財産は300万円(100万円× 3年)減っていますので、相続税は贈与しなかった場合より90 万円(300万円× 30 %)少なくなっています。贈与税はかかっていませんから、相続税の減少効果は 90 万円になり ます。

(b)の場合

相続財産は 1500万円減っていますので、 相続税は贈与しない場合に比べて450万円減っています。 贈与税は159万円( 53 万円 ×3年)です。従って実質的な相続税減少効果は291万円 (450万円ー159万円)に なります。 (b)の場合は(a)の場合に比べて201万円税金の持ち出しが少ないことになります。

10 年後に相続が発生した場 合には、(b)と(a)の相続税減少効果の差は670万円に拡がります。 上記の差は、30 %で相続税がかかってくる財産(相続財産)をどれだけ減らせたかの差が現れたものです。

「贈与は基礎控除(110万 円)の範囲内で」と考えてい らっしゃる方は多いと思います。しかし相続税対策が必要な方については110万円に あまりこだわらずに1回の金額を多少大きくして贈与のス ピードを上げて相続財産を少しでも減らす方が相続税減少効果は大きく得られるでしょ う。

相続税がかかる場合、相続財産が減れば、相続税の適用税率分だけ(最低 10 %)の相続税が減ることになります。他方 10 %の贈与税がかけられる金額は大体500万円です (500万円に対する贈与税53 万円( 10 ・6%))。

前回もお話ししたように、 相続税の適用税率を把握した上で、贈与のスピードを考慮に入れて110万円の控除に囚われすぎないで(贈与税が負担できる範囲で)、上手く贈与を活用していただきたいと思 います。

 

株式会社LR小川会計 代表取締役  小川 泰延

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ