知っておきたい「証憑書類」の保存心得
一般に証憑書類と呼ばれる請求書・領収書。日々発生するこれらの書類の保存には多くの方が頭を悩まされているのではないでしょうか。今回は、証憑の持つ意味や、保存の際の心得、そして法定保存の年数など、「証憑書類」に関する経理実務上の留意点を簡単にまとめてみました。
▼証憑書類とは?
証憑書類とは現預金出納帳・納品書・請求書・領収書など「仕訳のもととなる全てのもの」をいいます。
▼どうして証憑書類が大切?
経理には、仕訳から決算書の作成までの簿記会計である外部報告会計と、資金繰りや予算制度など簿記会計以外の内部報告会計があります。外部(税務署・株主など)から見た場合、客観的に取引の内容が分かる証拠になるものが必要になります。それが証憑書類です。領収書だけでは代金を支払ったことの証拠にしかなりません。内容を把握するためには納品書や請求書が必要になります。また経理実務から見れば、何を・いつ・いくらで購入したかも重要な点になります。
その他、節税という観点からも証憑書類の存在が大切です。会計上は経費になるのに、税務上損金にならないもの(交際費等)があります。そこで税法は、交際費と似ている福利厚生費や会議費などの周辺科目との区別ができるように規定しています。交際費にならないケースを判断するには、証憑書類の中身によって決まります。また、資本的支出あるいは固定資産の取得と修繕費や消耗品費などとの違いを判定するにも証憑書類の内容が大切になります。その意味でも、証憑書類をきちんと整理・保管しておくことが重要になるわけです。
▼証憑書類はこんな風に管理しよう
証憑書類は、受け取る・渡すという二つの側面があります。どちらも最終的には原本や控を保管することになります。最も良い方法は、証憑書類に一連の番号を付け、会計伝票に記入しておくものです。証憑書類は、番号を基準に整理しておきます。そうしておけば、なんらかの理由で証憑書類を見たいときにすぐに探し出せて便利です。また、証憑書類の内容・種類によって区別して保存します。一般的には、売上・仕入・預金・経費・設備投資関連のように、取引を自社の実態に合わせ、分かりやすいように分類・区分し、それに合わせて証憑書類を保存するやり方があります。法令上特に決められているものではないので、日付・取引先別・案件別のように整理・保存すれば良いのです。
また証憑書類は、税務上7年間(会社法上は10年間)の保存期間が決められています。7年間も保存義務があるとなると保存スペースの確保も大変かと思います。「ジャマな資料を捨ててしまいたい」という社長さんの声もちらほらお聞きしますが、会社の歴史を築いてきた資料の数々、どうか7年間はしっかりと保管して下さいますようお願いいたします。
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