家賃滞納への対処方法

第231回 財産承継研究会

家賃滞納への対処方法

◆契約の基礎知識

民法の原則は、賃料の支払方法は取り立て債務ではなく持参債務、送金手数料は賃借人の負担、遅延損害金は、個人なら民事法定利率5%・法人なら商事法定利率年6%。

特約がある場合は、個人の居住用建物の場合年14.6%が上限。法人、事業用建物の場合暴利にならない限り自由。

滞納賃料の消滅時効は5年。5年間行使しないと消滅。
但し自動消滅ではなく、相手が時効を主張した時に効力が発生。

◆予防措置

遅延損害金の特約は年14.6%を越える部分は無効だが、全部が無効になるわけではない。無催告解除の特約については当然に有効ではないが、精神的な効果はある。

保証人は単なる保証人ではなく連帯保証人がよい。保証債務は相続人に承継される。更新後の保証責任も継続責任がある。

◆具体的な対応策

①電話又は面会による督促(記録は必ず残す)
②書面による督促(必ず期限を切って、条件付解除の意思表示をする)控えを保管。
③内容証明郵便による督促。連帯保証人にも同じものを出す。
④話し合いが成立したら、合意書作成。
⑤行方不明の場合、明渡し訴訟を提起し判決後強制執行。

◆自力救済は禁止

自力救済とは、法の手続きを経ないで実力を行使すること。例えば、賃貸物件の鍵の交換、無断での室内立ち入り、電気・ガス・水道の停止、入居者の荷物の搬出・処分等。契約書の特約で明記しても、何度予告、催告、警告をした上でもダメ。

慰謝料(精神的損害)の問題が生じる。契約解除後も同じなので要注意。但し、荷物の搬出等、連帯保証人が自主的にやることはこの限りではない。

◆法的手段

①民事調停

申し立ては物件の所在地を管轄する簡易裁判所。話し合いの見込みが無い場合は時間と費用の無駄。成立には、かなりの譲歩が必要。

②支払督促

審理をしないで督促状を郵送。申し立ては債務者の住所地を管轄する簡易裁判所。債務者から異議が出た場合は効力がない。

③少額訴訟

一回の審理で判決が出るがこれは明渡しには至らない。債権額は60万円以下。申し立ては賃借人の住所地又は債務履行地(貸主の住所)を管轄する簡易裁判所。

④明渡し訴訟

本格的な裁判。提起は物件所在地を管轄する地方裁判所。確定判決により明渡しの強制執行ができる。弁護士費用の他に明渡しの強制執行にも費用がかかる。
和解による任意明け渡しの方が安く、しかも早く解決する可能性が高い。

家賃滞納をずるずる許すと、かなりの時間と費用・活力を必要とする。
やはり家賃の入金管理を小まめにして早めに対処することが一番の有効策!?

 

♥ 次回の財産承継研究会の開催日 ♥

2008年2月22日(金) 18時30分~20時30分

☎044-811-1211(渡部・駒まで)

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