実現させたい!ふるさと納税

私は大賛成:是非実現をe0100687_1424446

政府与党は4月8日、「ふるさと納税」を来年度(平成20年度)の税制改正の目玉として打ち出し、俄然税制議論が賑やかになりだした。
私は平成18年2月号(83号 税制で地域を活性化しよう)「税制は社会を変える」というタイトルで左記のように書いた。書いたときは、勝手論でよもや実現するとは思ってもいなかったが、是非、小異を捨てて実現して欲しいと思う。

「ふるさと納税」構想の概要

ふるさと納税は、地域間格差問題の一つとしてクローズアップされた。
地方税にあっては特に人口一人当たりの都道府県民税の地域間格差が3倍以上にも開いているため、地方から出てきて都市部に住む人たちが自分の出身地へ地方税の一部を納税できるようにし、地域間格差の解消を図ろうとするものである。
この提案に対しては早速次のよう否定的な意見が出されている。
①「受益者負担原則」に反する。
②“ふるさと”ということばが曖昧で地方同士の税源獲得争いになる。
③地方への寄付について「寄付金控除」を所得控除から税額控除に改めることによって地方支援を図るべきである。

“ふるさと”の定義

②の“ふるさと”の定義については、常識的に考えて配偶者も含めて小、中学校・高等学校生活をすごしたところ、両親、祖父母の生活しているところとすれば良いのではないか。

「寄付金控除」の税額控除には反対

納税者が納税先を指定する今回の提案に対して③のように「寄付金控除」に改めることによって、同様の結果をもたらそうという考え方もある。しかし、寄付手続きを納税者が申告手続きとは別に行わなければならず、納税申告のときに納税先を選択することに比べれば、納税者の時間的、心理的な負担が格段に重くなる。結果として折角の名案も有名無実化するおそれがあり、私はこの考え方には反対である。

「受益者負担原則」に反論する

反対論の中心は①の地方税の大原則である「受益者負担」の原則に反するのではないかというものである。
受益者負担原則は、受益と負担をどの程度対応させるかという相対論である。
受益者負担というものを正しく捉えるには、受益者負担を過去、現在、未来を通して考える必要がある。
更に言えば、現在提案されている「ふるさと納税」は、地方税(住民税)の枠組みの中で考えられているが、国税の地域間再配分制度である地方交付税に代わる第二地方交付税と考えるならば、国が集めて国が地方自治体に配分するよりもはるかに優れている。
かつて、教育を受けた“ふるさと”に所得の中から納税することや、年老いて故郷に残る父母を自分たちに替わって地域で支えてくれている“ふるさと”へ自分の納税額の中から納税し、高齢化に悩むふるさとをゆとりある美しい地域にしたいと考えることは至極当然ではなかろうか。

ほっとタイムス83号で書いたように、国と地方の税率配分を変えることができれば更に望ましい制度になるのではないか、と思う。

税制は社会を変える(ほっとタイムス83号巻頭記事より)
地方分権を確立するには税源を確立することが肝要である。このような税制をとった場合、選択権を多く持つことで地方ごとに活性化策を考えるであろう。都市圏で功成り名を遂げた地方出身者の中には出身地に錦を飾る(住所を移す、会社の本店を移す)ことで、地方の税源が豊かになり、地方の財政基盤がより強固になり、ヨーロッパや外国に見られるように個性豊かな地方が出現するのではなかろうか。たまたま地方の活性化策として政府が「二地域居住」政策を打ち出していることをテレビで見た。私も以前から交通網整備やIT技術の発達を活用すれば「二地域居住」政策は地方の活性化の役に立つのではないかと考えている。・・・中略(海野七生氏の著書を引用)・・・。21世紀は、どこの国で税金を払うかを、納税者が選べる時代になるだろう。税収を確保するためにも、税制度は「魅力的」に変わる必要がある。」(p.230)。
傍線を引いた部分を「21世紀は、どこの“国(出身地や居住地)”で税金を払うかを、納税者が選べる時代にしよう。」と読み替えて多様な魅力を持つ活力ある地域・地方が出てくるような税制を期待したい。

税理士法人 LRパートナーズ 代表社員 小川湧三

 


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