会社法における取締役の責任
昨年5月に会社法が施行されほとんどの事項で「無過失責任」とされていた取締役の責任が「過失責任」へと軽減されました。つまり不注意なミスがあった時のみに責任が問われることとなりました。
また株主総会の決議で取締役の会社への損害賠償金額を制限することもできます。
無過失とは =故意や不注意ミスがなかった事
過失とは =不注意ミスがあった事
※ただし過失が無かったことの証明は取締役自身が行わなくてはなりません。
会社に対する取締役の責任
以下のようなことを行い会社に損害を与えた場合には他の取締役と連帯して損害賠償責任を負うことになります。
1 違法配当
限度額を超えて配当金を支出することです。
2 利益供与
株主の権利行使に関する株主に金銭その他財産を供与する場合。
3 利益相反取引
取締役と会社間で利益が相反する取引を行う場合。
4 法令・定款違反
法令や定款に違反するようなことを行うような場合。
具体的には総会屋に金品を渡すことや、役員と会社間の売買などで役員に利益をもたらし会社に損害を与えることなどです。
※ ただし利益供与に直接関与した取締役の責任と取締役が自己のために行った利益相反取引は「無過失責任」となります。
役員の責任軽減
取締役が会社に損害を与えた場合賠償責任を負いますが、以下の場合には責任を制限できます。
1 賠償責任の全額免除
総株主が責任の免除に同意する場合
2 賠償金額の制限
善意で重過失がない場合には株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、その2/3以上の賛成がある場合)により以下のように制限できます。
●代表取締役…報酬の6年分
●取締役…報酬の4年分
●監査役、社外取締役、会計参与会計監査人…報酬の2年分
善意とは =知らなかった事
重過失とは =重大な不注意ミスがあったこと。
3 責任の限定・・・社外取締役、社外監査役、会計参与、会計監査人は善意で重過失がない場合、定款で定めた金額と上記賠償制限額の高い方を限度として支払うことを責任限定契約であらかじめ定められます。
※社内の取締役・監査役には責任限定契約の適用ありません。
第三者への損害
第三者に損害を与えた場合、取締役は賠償責任を負います。会社への損害には免除、制限はありますが、第三者にたいしては責任の免除、制限はありません。
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