平成18年度税制改正の法律案のポイント

役員給与の損金算入見直しについて

役員給与の損金算入見直しへ平成18年度税制改正の法律案が明らかになりました。今回の改正で注目すべきポイントの1つは法人の給与についての取扱いの見直しです。

◆役員報酬の取扱いの現状はどうなっている?

個人事業者は事業主ご自身の報酬を事業所得等の計算にあたって必要経費に算入することはできません。しかし、会社形態をとることにより事業主である社長の報酬は役員報酬として会社の損金に算入することができます。

社長ご自身に課せられる所得税の計算においては、会社からの報酬は給与所得として課税対象にはなりますが、その計算過程においてその報酬の額から「※給与所得控除額」を控除して所得金額が計算されます。

会社が社長に対して支払う役員報酬は法人税の計算の段階で損金算入され、所得税の計算の段階ではさらに給与所得控除があるという、二重に控除が受けられる状態です。そこでこれまでは事業を法人化し、役員報酬の損金算入と給与所得控除の「経費の二重控除」を利用した節税策が見受けられました。

※給与所得控除…所得税の計算にあたり会社に勤務する役員や従業員が給与収入(給料、役員報酬など)を得るための経費を概算で控除する制度

◆なぜ取扱いが見直されるのか

平成18年5月に施行が予定されている新会社法、この改正もこの法律の施行を受けてのものです。新会社法においては、会社を設立するための最低資本金要件が撤廃されることなどにより個人事業者が会社形態をとることが容易になります。つまり、節税目的での法人化が容易になるところでした。そこでこれを抑制するため改正が行われます。

◆どのように見直されるのか

今回の改正は個人で事業を行っている場合と大差がない実質的な一人会社※を対象とするものです。

現状であれば、前述したように社長の報酬は法人税の計算の段階で損金に算入され、社長ご自身の所得税の計算において、その報酬から給与所得控除額を控除して所得金額が計算されますが、実質的な一人会社のオーナー社長の報酬については、その給与所得控除額相当分を法人段階で損金に算入しないとする改正が行われる見込みです。

※社長とその親族などが株式の90%以上を保有し、常務に従事する役員の過半数を占める会社等で、一定の所得要件を満たす会社をいいます。なお、この改正は平成18年4月1日以降に開始される事業年度から適用されます。

< おわりに >

この改正の具体的な適用要件及び損金不算入となる金額の計算方法などはこれから明らかになります。ご不明な点はお問い合わせください。

 


神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ