気にかかること

景気は踊り場を脱したか

7月には経済財政白書が発表され「雇用」「設備」「債務」の三つの過剰が解消され、バブル後を脱したと発表された。

衆議院の解散総選挙が決まった翌日、政府から月例経済報告で「経済は踊り場的状況から脱却している」日銀総裁も「景気は踊り場をほぼ脱却したと判断しうる」と発言して、日本経済が安定した緩やかな回復局面に入ったとの認識を示した。

周りを見れば原油高から電気・ガス料金の値上げも決まった。地価も13年ぶりに都市圏で僅かだが上昇に転じ、中国元の切り上げ影響など物の値段が上がり始める気配が感じられる。

気にかかること

本誌の右側に掲載している「LRグループ 6月提出法人決算概況」に示している通りお客さまの決算に見る限り急速に企業業績が悪化していることである。

この中で特に売上高減少法人が平成14年8月―平成15年7月事業年度法人まではおおむね50%前後で推移していたが、平成17年2月提出(平成16年1月―12月事業年度)法人から先月までの申告法人について急速に減少法人が増加していることである。

売上の伸び悩み傾向が平成14年2月事業年度法人が50ポイントであったものが3月事業年度法人が44ポイント、4月事業年度法人が36ポイント、5月事業年度法人が30%と売上高が前年を上回る企業が減少していることが顕著であることは非常に気にかかることである。粗利益の減少も同様である。(図表参照)

体質改善は進んでいる

お客さまの体質改善が進んでいることは、総資本が減少し、自己資本の増加傾向が見て取れることである。

すなわち、自己資本が改善している企業は平成16年12月期と平成17年1月期決算法人を除いては60ポイントー70ポイントの高水準で改善しているし、総資本が減少している企業は60ポイントを前後して推移している。

「決算概況推移」表を見ていただければ納得していただけるものと思う。しかし、冒頭に書いたように収益面で異常な気がかりな状況にある。決算概況にはタイムラグがあるが、景気回復局面が続いてきたのであればこのような現象は起きないのではなかろうか。

中小企業には景気も二極分化?

景気回復の主役である消費も0.4%プラスに転じたとのことである。しかし、中小企業にとってはまだまだ予断は許されない。社会保険料や老年者控除の廃止などに伴う増税の効果が現れるのは来年の確定申告からである。

さらに政府税調の答申にみる給与所得者への退職金や給与所得控除の見直しなど増税ムードは来年以後に持ち越された。団塊の世代の定年退職も後からやってくる。

折りしも、郵政改革法案の否決を機に総選挙に入った。この改革路線には海外の論調は極めて好意的である。したがって、総選挙の結果如何では大きく影響を受けるであろう。

先月号でも述べたが企業の新旧交代が急速に進んでいる。決算概況は急速な中小企業の二極分化を示唆しているのかもしれない。

(小川 湧三)

 


神奈川県川崎市で税理士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ