現代の錬金術

現代の錬金術・IPO(*)

・・・*IPO(=Initial Public Offering:新規株式公開)

ニッポン放送買収劇でスポットライトを浴びたライブドアが今度はフジTVとの間で和解の話が進んでいる。その対象とされている金額の大きさと比べて弱冠32歳の堀江社長がテレビに登場すると、その若さと事件の主役のなんとはないアンバランスに違和感を覚える人は少なからずいるに違いない。

いま二日に一件(昨年は175件)の新規上場企業が生まれている。上場企業が一社生まれると数十億円の創業関係者に一億円クラスの上場関係者が100人が誕生すると言われている。このようにデフレ、デフレといって悲観的にばかりなって入られない新しい時代を実感できるようになってきた感がある。

KSPではベンチャー育成投資ファンドを組成し第一号ファンドでは投資企業の中から上場企業がでて投資金額を十分上回るリターンを得たと聞く。IPOはまさに現代の錬金術と言っても過言ではない。

資本主義と株式会社制度はお金の製造工場

「会社は成長するお金の工場だ」といったのはピーター・リンチだと記憶している。けだし、株式の本質を簡潔に、かつ、適切に衝いた言葉だと感心している。

株式会社は現在では誰でもが利用しているが、会社制度はもともとは大勢の人から資金を集め個人や小資本ではできない事業を行うためにできたものといわれている。

いわば株式会社の株主になることは上手に経営しお金を稼ぐことが上手な人にお金を預けることである。あるいは、オーナー経営者となって事業を成功させることである。

だが、オーナー経営者の場合は役員報酬や配当を得るしかないのでIPOを目指すか、M&Aにより会社を売却しない限り大きなキャピタルゲインは生まれない。

あなたは錬金術師になれるか

会社の数は200万社以上あるが、上場している企業は約3900社にも満たない。しかも上場しても上場を維持できなかったり倒産してしまう企業もある。

株式会社ではないが、錬金術師の権化のようなLTCMのようにノーベル賞経済学者が何人もいても一瞬のバランスの失調によって破綻してしまうこともある。

現代の錬金術師になるには誰でもチャンスはあるが誰でもがなれるわけではなく優れた能力と努力と運とさらに絶妙なタイミングを嗅ぎ分ける能力をもつごく少数の人々に限られる。

稼いだお金で何をするか

アメリカやヨーロッパでは経営者やプロフェッショナルの人たちは実によく働き、そして大体50―55歳くらいにリタイアし余生を自由に暮らしたい、そのために今精一杯働きたいという。

お金を求めることは手段であって目的ではない。生活のために必要なお金を稼ぐのに自分の時間を割くのと、お金がお金を生み自分の時間を支えてくれるのとの違いといっていいだろう。

ビル・ゲイツも世界長者番付に載った後も欧米のハイソサエティに受け入れられなかった。自ら資金を拠出した基金を作り社会貢献をして以後はじめて受け入れられるようになったと聞く。日本では未だお金を得た先の有り様が見えてこない。

(小川 湧三)

 


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