世界の街角から日本を見直そう

少子高齢化先進国

先6月末、少子高齢化社会を迎える日本の先を行く国、少子高齢化の先進国であるスウェーデン(ストックホルム)とデンマーク(コペンハーゲン)の視察旅行に参加した。

スウェーデンは第二次大戦中中立を貫き、戦禍が及ばなかったため世界に先駆けて高齢化社会を実現したことは周知のとおりである。しかし、財政負担に耐え切れず高福祉のあり方を施設福祉から在宅福祉に転換し、社会の中での福祉・介護をしていくことになった。

地方分権と役割分担

スウェーデンでは、案内してくれた方が、パートの市議会議員で、週一回夕方から始まる議会で議員として活動していて、報酬は議会へ出席したときだけ報酬を受け取るいわゆる“パート議員”だということである。

デンマークでは行政組織が国、県、市の三層構造でシンプルである。役割も市は福祉・介護を中心に県は教育と医療を中心に役割を担っており、特に市は予算の54%を福祉・介護に充て、特に少子化対策として16歳までの子供を持つ世帯に対して扶養手当を支給していることである。

物価と消費税

高福祉には高負担がなければならない。給与の半分は税金と社会保険で手取りは概ね半分だという説明があった。消費税率は一部の例外はあるものの25%であった。店頭表示価格はいずれも税込み価格で表示されているのみで税額あるいは税率の表示はないので物価は消費税のせいもあるが、一般的に“高い“という印象である。

地下鉄とセントラル・ステーション駅

ホテルの近くに地下鉄があったので、そこからセントラル・ステーション駅へ行った。乗った駅では比較的きれいであったが、一駅であったが街の中心でもあるセントラル・ステーション駅の外へ出てみると、黒人が大勢たむろしていて、紙屑、食べ物の残り物など散乱していて異様な光景であった。

北欧で考えたこと

僅かな日数、限られた範囲で、目の前にある彼の国の現実の一端を垣間見ながら考えることは、①地方行政の役割分担のあり方、②“天下り天国“と云われる日本と“パート議員”に見られる行政コストの削減への努力、③反面、無条件に支給される扶養手当に見られる少子化に対する必死の対策等は見習うべき点が多いと感じた。

しかし、④高福祉、高負担の背後で徐々に負担が増えていく現実、⑤駅前の荒廃した姿や、⑥いまや中国の若い人の方がおしゃれに敏感であるように見える街行く人々の質素な生活をみると、高度な福祉社会、中世的な牧歌的生活を思い出させる洗練されて入るが日常市民的な平穏な生活は徐々に静的な動きのない社会へ吸い込まれていくような感覚を感じてしまった。

日本のこの首都圏の中の喧騒に満ちた刺激的な生活や活力を削がずに地方都市における平穏な生活と対比しどう調和させたらよいのか考えさせらたものである。

(小川 湧三)

 


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