TOC革命とMG

「ザ・ゴール」

いま「ザ・ゴール」という小説スタイルの生産革命の本や「ザ・ゴール」を体系化した「TOC」関連の本が売れている。

この「ザ・ゴール」は1986年に発行され世界中で250万部以上発行されていたのだが、なぜか日本だけには昨年まで発行が許可されなかった。

著者は「『ザ・ゴール』が日本語で出版されると、世界経済が破滅してしまうので許可しないのだ」また「日本人は、部分最適の改善にかけては超一級だ。その日本人に『ザ・ゴール』に書いたような全体最適化の手法を教えてしまったら、貿易摩擦が再燃して世界経済が大混乱に陥る」と言った曰くつきの本である。(ザ・ゴールp547)

TOCとは

TOCは「ザ・ゴール」に書かれている経営改善手法を理論化したもので、TOCとは、Theory of Constraints(制約条件の理論)の略称である。

TOCは①ゴールを明確にし②原価を現在の原価計算方法を否定し直接原価(DC:ダイレクト・コスト)法により③直接原価法によるマージンを「スループット」と定義し、④このスループットの最大化を妨げる制約条件を「ボトルネック」とし、⑤ボトルネックを改善することによってスループットの最大化を図る経営手法である。

TOCの特徴

TOCは在来の生産改革・経営改革手法(IE、QC、VA、TQC、TQM、JQA、CI、JITなど)と異なっている最大のポイントは

①全体感(全体最適)をとっていること
②全体感をとることによって、常に全体を優先し、部分を全体に従属するものとして下位においていること(いままでの手法との大きな差)
③優先順位を明らかにしてとにかく目標達成、企業の場合にはMQ(DC法による粗利益)最大化を最優先課題としていること
④そのために会計情報もDCやCF(キャッシュフロー)を道具として使い、旧来のFC(全部原価=フルコスト)を否定し去っていること
⑤MQ最大化、CF最大化を目指すことによって業績の急回復、急成長を実現していること

である。(西順一郎氏のまとめから引用)

TOCとMG

MGはManagement Gameのことである。ゲームではあるが、単なる遊びではなく、①ダイレクト・コスト②企業方程式と会計恒等式を理論的基礎とする戦略的会計を理解するためにゲーム化したものである。

MGとTOCは共通点が多い、というよりむしろ従来の制度会計を否定して経営の意思決定のツールとしての戦略的会計をゲーム化し人間行動学的アプローチをとるMGを体系化し理論的背景を与えるものがTOCであると言っても過言ではない。

MGの理論的基礎は経営の現場で西順一郎氏が実践し体得したダイレクト・コスト、会計恒等式と企業方程式(PQ=VQ+F+G:MQ=(P―V)*Q)を基として体系化したものである。MQ=スループット最大化を目的とした点、ダイレクト・コストを中心としたことでTOCの先駆をなすものである。

MGをやればTOCのスループット会計を頭でなく体で理解することが出来る。MGをお勧めする所以である。

(小川 湧三)


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