キャッシュフロ-経営とペイオフ

ここ数年会計基準の立場から連結決算、税効果会計など会計のグローバル化と併せて、キャッシュフロー経営と言うことが盛んに言われて来ています。キャシュフローとは、現金ベースで経営状況を把握しようとするものです。

売り掛け買い掛けの掛け取引、受取手形、支払手形など従来企業間信用の上に成り立っていた取引を否定し、現金取引をベースに経営内容を判断しようとするもであり、長年の経済取引の慣行に逆行するものです。

背景には、いわゆるバブル崩壊後の資産デフレにより、すでに第2次世界大戦の被害金額を超える資産損失を被っており、経済敗戦と言われる金融機関倒産、証券会社倒産、保険会社倒産という金融システムの崩壊があります。このため本来信用創造の中心であるべき金融機関が、「貸し渋り」から「貸し剥がし」と融資の引き上げを進めている信用収縮現象が顕著になって来ていることがあります。

2001年4月からペイオフが実施されることが決まっています。ペイオフとは金融機関が倒産した時には1000万円を超える預金については払い戻しを保証しないことをいいます。間接金融にしか頼ることのでず、金融機関からの融資にしか頼ることのできない中小零細企業はキャッシュフロー経営に徹しなければなりません。

では、企業がこのような努力の結果生み出したキャッシュはどこに置いたらよいのでしょうか。金融機関にでしょうか。それとも会社の金庫の中でしょうか。それとも海外でしょうか。お金に安息の場所がなくなってしまうのがペイオフです。

お金は企業にとって心臓から送り出される血液と同じで、一瞬でも途切れれば企業の倒産を招くことは、今も昔も変わりはありません。「勘定合って銭足らず」という言葉があるようにキャッシュフローの大切さは今も昔も変わりません。

これからの大きな問題は金融機関から融資を受けられないことであり、土地担保主義から抜けられず、融資を受けるより資金繰りの良否に関係なく返済を求められていることです。

すなわち金融機関に頼らずに経営していかなければならないことから、企業の生き残りの手段として「キャッシュフロー経営」という衣を着せて企業経営が見直されているものと言えましょう。

トヨタが資金繰りの苦しいときに金融機関から融資を断られた苦い経験からトヨタ銀行と称される強い財務体質を作り上げたように、新しい強靱な企業への変質を求められています。

(小川 湧三)

 


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