産業創生銀行

銀行業務をしなくて良い銀行員

会長8月15日の日本経済新聞に小さな記事が出ていた「銀行業務をしなくていい行員」がそのタイトルで、産業創生がその特命業務だそうである。山形銀行の総合企画室「山形成長戦略推進室」のメンバーがその銀行員である。

お金を貸してくれ、と言ってくるのを待っている銀行から、貸せる企業を探して貸す銀行に変わってきたが、これも新聞に報道されているように実質無借金の上場企業が2000社を越え、ゼロ金利からマイナス金利といっても借りてくれる企業も少なくなってきている。少子高齢化の影響を受けて中小企業の数も減少の一途を辿っていることは周知のとおりである。

いよいよ、有り余る金を使って事業を作り出さなければならない時代になってきたのかもしれない。

上杉鷹山

山形県で思い出されるのは上杉鷹山である。上杉鷹山は日本近世史上屈指の名君であるといわれ、J・F・ケネディ元アメリカ大統領やビル・クリントン元大統領に「もっとも尊敬する日本人政治家」と言われた江戸時代の米沢藩主(現:山形県米沢市)である。

鷹山は傾いた米沢藩を立て直すため、まず「大倹約令」を発し、役人の贅沢や無駄を正すことから、藩政改革への第一歩を踏み出し、その後農政を改革し、教育を進め、産業を発展させていった。

上杉鷹山の薫陶を受けた山形銀行が今までの銀行業務形態から脱して産業創生へ向けて一歩を踏み出したことは非常に新鮮に目に映ったし、私がアベノミクスの第一弾の成長戦略に期待したところとも重なっていて、注目を引いたのである。

産業創生

平成25年1月、ほっとタイムス166号でアベノミクスに期待して「平成の渋沢栄一出でよ」と題した原稿を書いた。

従来の延長線上にあるような産業創生ではなく明治維新のような革新的な産業創生が必要だと考えて、〝いまこそ、世界のセンターとなる新産業の創出を〟というサブタイトルで「通常実験ではなし得ないことが地震災害を通じて発生してしまった日本は〝災いから逃げる〟という発想ではなく〝災い転じて福となす〟という発想から日本を核エネルギーの制御・防災や代替エネルギーの研究開発の世界のセンターとすべく官民挙げてのエネルギー新産業の創出に取り組んではどうであろうか」と書いた。

預金に5%の利息がついたら

8月号でもふれたが日本国民の預金は1000兆円を超えたそうである。仮にこの預金に5%の利子がついているとしたら日本国民は毎年50兆円の利子所得が生まれる。国民にとっては利子が生まれれば安心して利子を消費することができ、50兆円が転々流通し2回転すれば100兆円、4回転すれば200兆円の国民の所得が増えるのである。

4月9日の日本経済新聞に「消費はなぜ伸びないか=将来不安・貯蓄重視」というタイトルで解説が出ていたが、長寿社会の中で貯金を取り崩す身を削るような恐怖感は為政者にはわからないことかもしれない。

5%の利子を支払えるようなお金を働かす場所は、かつてイギリスがスエズ運河を開発したように、県内や、国内に投資場所を探すのではなく、広く世界に目を向けて探さなければならない。先進国のアメリカで新幹線網やリニア新幹線網を展開することも可能かもしれない。また、開発途上国のインフラ開発などについてもODAなどバラマキ型の援助ではなく、投資プロジェクトとして成立するようなお金の使い方が求められる。よく見れば沢山の投資機会がありそうである。

一銀行や企業が従来の延長線上で新規事業や創業を考えたり、支援策を考えるのも自ずと限界がある。1000兆円の預金を背景に5%の利子を国民に支払うようにするには明治維新のように国家総力を挙げてグローバルな産業創出を図ることが必要である。

日本を世界のスイスに

たとえば、その一つは日本を世界一の金融センターにすることである。日本を経由して世界中に投資できる環境を作ることである。日本は2000年に及ぶ歴史と文化を育み、更には、日本は温暖な気候と四季に恵まれ、世界にも稀な風光明媚な国である。国力総動員で日本国民に5%の利子を支払える産業を創出するために、日本をスイスやシンガポールのように世界の富裕層を呼び寄せ世界の金融センターにしようと考える指導者はいないのであろうか。

 

 

税理士法人LRパートナーズ
代表社員 小川 湧三


神奈川県川崎市で税理士・社会保険労務士をお探しなら

LR小川会計グループ

経営者のパートナーとして中小企業の皆さまをサポートします


お問い合わせ


 

産業創生銀行” に対して2件のコメントがあります。

コメントは受け付けていません。