インフレ時代の投資戦略
クローバー通信 No.251
2026年、日本の経済環境は大きな転換点を迎えています。長らく続いたデフレ脱却から、2%~3%程度のマイルドなインフレが常態化し、モノの値段が上がる一方で「現金の価値」は相対的に下がり続けています。かつて投資は「余裕がある人がやるもの」でしたが、現在は「資産の購買力を守るための防衛策」へと変わりました。
今回は、新NISAを軸とした効率的な取り組み方と、年代・目的別の資産配分についてみていきましょう。
1 投資を始める前に知っておくべき3つの大原則
初心者が陥りがちな「一攫千金」の誘惑を避け、着実に資産を増やすために、以下の3原則をもう一度確認しましょう。
⒈ 「長期・積立・分散」の原則
市場の短期的な変動に一喜一憂せず、世界中の資産に分散して、長期間コツコツ買い続けること。これは歴史的に証明されており、勝率が高くストレスを抑えた効果的な方法です。
⒉ インフレ耐性のある資産を持つ
預貯金はインフレに弱い一方、株式や不動産、ゴールド(金)などの「実物資産」の側面を持つ投資対象は、物価上昇に伴い価値が上がる傾向にあります。
⒊ リスク許容度の把握
「いくらまでなら減っても生活が破綻しないか」を見極めることが重要です。
2026年現在は金利も上昇傾向にあるため、住宅ローンの金利上昇リスクなども考慮した上で、余剰資金を算出しましょう。
2 年代別・目的別 資産配分の提案
ライフステージによって、取るべきリスクと目指すべきリターンは異なります。
⒈ 20代〜30代:資産形成期 複利の力を最大化する
若年層にとって最大の武器は「時間」です。一時的な市場の暴落も、20年、30年というスパンで見れば単なる通過点に過ぎません。全世界の株式に広く分散するインデックスファンドで、1年決算で分配金を投資するタイプを選ぶと良いでしょう。5年以内に資金使途が決まっている資産でなければ、投資資金の80%以上を株式中心の積極的な運用でOKです。
◆ 資産配分例
株式(全世界・米国・日本・新興国など)80%~
注意!
NISA貧乏という言葉があるように、資金を投資に入れすぎて、家計に影響が出るようでは意味がありません。
⒉ 40代〜50代:資産拡大・維持期 バランスと安定を意識
教育資金や住宅ローン、そして目前に迫る老後。この世代は、攻め一辺倒ではいられません。株式の比率を50〜60%程度に抑え、残りを債券やゴールドに分散させることで、下落局面でのダメージを抑えることが重要です。
◆ 資産配分例
先進国株式50% 債券30% 金・REIT10% 現金10%
⒊ 60代以降:資産活用期 資産の「延命」と「活用」
現役を退いた後の投資は、資産を「減らさない」ことが最優先となります。しかし、インフレ対策を怠れば、老後資金が底をつくリスクが高まります。高配当株や債券を中心に、定期的なキャッシュフロー(現金収入)を生む構造を作りつつ、現金比率を30%程度確保しておくと安心です。
◆ 資産配分例
高配当株式・REIT 30% 債券 40% 現金 30%
「100マイナス年齢」の法則
投資における株式(リスク資産)の保有比率を「100 - 年齢」%、債券(安全資産)を年齢%にするという、米国の伝統的な資産運用の目安です。年齢が高くなるほどリスク許容度が下がることに対応し、若いうちは株式で高く攻め、年齢とともに保守的な運用にシフトする仕組みとなっています。
3 新NISAの活用術と注意点
新NISAを活用し、非課税枠を最大限有効に活用することは、リターンの向上につながります。
1.「つみたて投資枠」をベースにする
まずは月々5,000円からでも良いので、自動積立を設定しましょう。
ドルコスト平均法により、高値で買いすぎるリスクを抑えられます。
2.成長投資枠で「インフレ対策」を補強
つみたて投資枠で投資信託を埋めつつ、余裕があれば成長投資枠で日本の高配当株や、物価高に強い企業の株を検討するのも良いでしょう。
3.実質利回りを意識する
利回りが3%あってもインフレ率が3%なら、実質的な資産は増えません。また手数料(信託報酬)が高ければ実質的な利回りが低下します。信託報酬の削減と、税制優遇を活用して「手残り」を最大化しましょう。
4.「リバランス」の重要性
経験者であれば、下落局面こそ「リバランス」を意識しましょう。比率が低下した株式を、相対的に価値が上がった債券や現金で買い増す。こうした機械的な「安値買い」が長期的なリターン向上に非常に有効です。
4 暴落の嵐を生き抜く 防衛戦略
ボラティリティ(価格変動)が高まっている2026年、リーマンショック級の下落がある可能性を想定しておきましょう。
投資を挫折させる最大の要因は、暴落時のパニック売りです。これを防ぐには「現金比率」のコントロールが鍵となります。
リスク許容度が低い場合には、現金比率を資産の半分とすることで、市場が半分になっても資産全体は25%の減少で済み、回復を待つ余裕が生まれます。
暴落時の心構え
◇ 生活防衛資金:
1年分の生活費は現金で。これが心の安定剤です。
◇ 市場との距離:
相場が悪い時ほど、証券口座を見ない勇気が必要です。
◇ 買いの好機:
積立投資を継続していれば、暴落は「平均取得単価を下げるボーナス期」になります。
《参考》
過去100年の世界市場では、リーマンショックを含むあらゆる暴落において、平均3〜5年で回復し、その後最高値を更新しています。
まとめ
今回ご提案した年代別の資産配分はあくまで目安です。ライフプランや目的、リスク許容度(年齢・家計状況・資産額・投資知識や意欲など)に合わせて、ご自身でオーダーメイドの配分を決定しましょう。
投資の目的は、単に資産額を増やすことではなく、「将来の選択肢を増やすための手段」です。自分のやりたいことを叶えるために目先の数字に惑わされず、自分が決めた方針を継続していきましょう。そのためには、世界情勢や経済について関心を持つことが重要ではないでしょうか。
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