世界各国のマイナンバー制度を学ぶ

海外通信 NO.94
世界各国のマイナンバー制度を学ぶ

最近、マイナンバーカードの発行・取扱いについて話題になっています。

今回は、各国の国民共通番号についてご紹介します。

【フランス】

個人情報の取り扱いについて敏感な国であり、個人番号は、「社会保障番号(NIR)」と呼ばれ、おもに社会保障の分野で利用されています。使用目的は、政令により社会保障、雇用契約、保健、税務、教育など明確に定められており、その監督機関としてCNIL(情報処理と自由に関する全国委員会)が設置されています。住所変更など日常生活に必要な手続のうち85%がオンラインで完結できます。

【ドイツ】

第二次世界大戦時、ナチス政権の下の旧東ドイツでは、全国民に個人識別番号をつけ個人情報が収集された歴史があり、国民のプライバシー侵害に対する懸念が根強くあります。1983年には、国勢調査の実施にあたり、ドイツ連邦憲法裁判所が「複数の行政で個人を識別する番号を利用することは、憲法に違反する可能性がある」との判決を下しました。また連邦議会でも同様の見解を示し、共通番号制度は導入されていません。現在は、税務、医療保険、年金保険、介護保険の分野においてそれぞれの番号で管理されています。

【デンマーク】

第一次世界大戦後の配給制度の管理を徹底するため、1924年に国民登録制度は始まりました。その後1968年に市民登録法(CPR)が制定され、現在でも福祉国家として行政サービスの充実を目的とし、社会保障番号、かかりつけ医、家族構成、職業などが登録され活用されています。また、金融機関の口座開設、賃貸物件の契約、公共サービス、携帯電話の乗換えなど、CPR番号の使用が一部民間企業などにも条件付きで許可され、各種手続きがオンライン上でできます。

過去の経験や国民性により、国民の情報管理方法は様々ですが、利便性が向上する一方で、データ漏えい・なりすましなどのリスクが増える事はどの国にとっても課題となっています。個人の情報が守られ安心して利用できるマイナンバー制度であって欲しいと願います。

【参考】デジタル庁 https://www.digital.go.jp/