第52回 ブロックチェーンゲームで小学生が月2万円稼ぐ時代が到来❹

情報セキュリティ連載
第52回 ブロックチェーンゲームで小学生が月2万円稼ぐ時代が到来❹

3 金融、ゲームにブロックチェーン技術が浸透 ①

仮想通貨

今回は、暗号資産が仮想空間と現実世界に与える影響、さらにはその影響が法定通貨にまで浸透しているお話をします。

まず、暗号資産の世界では大きな出来事がありました。韓国企業が主導していたUSTという米ドル価格に1:1で固定されるコイン(ステーブルコインといいます)が1:1を外れ大暴落をしました。それが起因となり暗号資産市場も暴落を続けている状況です。

ビットコインをはじめとする暗号資産は価格面ばかりがクローズアップされますが、ビットコインが注目されるべきものは使用されているブロックチェーン技術です。

★ ビットコインが大発明と言われる本当の理由

従来の金融システムは政府などの発行者団体が存在し、送金決済の取引履歴を記録管理をしています。これは、AさんがBさんに1万円を送金すると同時にAさんがCさんに1万円を送金した場合、管理している人がいるため2つの取引が記録されAさんの口座から2万円がマイナスされたことが記録されます。

管理人がいない場合はどうでしょう。送金先の記録を間違えたり、ズルをする人が現れて信憑性のない記録になってしまう可能性が出てきてしまいます。

このことから、ブロックチェーンの技術が生まれるまでは金融システムは中央管理者がいることが当然とされていました。

ブロックチェーン技術はこの中央管理者という概念を外すことに成功し注目を集めました。そのネットワークに参加する人たちの合意という形式で取引の整合性を担保しています。

上記の取引ではネットワーク参加者が取引の確認をしあい成立させる仕組みです。ネットワーク参加者は正しく承認しあうことで対価を受け取り、不正をしようとしても連なる過去からの取引も改ざんしなければならず、改ざんが困難なシステムとなっています。

このため、金融システムや経済を大きく変える可能性を秘めた大発明とされています。

生まれたばかりの技術のためクレジットカードの処理能力に耐える技術などまだ必要な技術の確立が求められる状況ですが、すでに東南アジアではステラネットワークというブロックチェーン技術を用いた送金が実用化され始めています。日本でもこのステラネットワークと同様の仕組みでSBIが検証を行い始めています。

★ スイカなどの電子マネーとの違い

ビットコインと電子マネーはどう違うの?という質問をよくされます。違いはやはり管理団体が発行管理しているか、していないかです。それだけ?と思いますが、管理団体は収益性や国々の制度など様々なものが求められます(「法令遵守できないビットコインはだめじゃん」と言われますがビットコインは管理団体が不明でプログラムが自動発行し続けているため、日本では専用事業者を法律で定め、その事業者が法律に従い運用しています)。

★ 管理人不要の金融システムがもたらすもの

システムとして独立して動くビットコインは、2009年の稼動から一度もダウンすることなく動き続けており、スマートフォンやパソコンなどがあれば容易にビットコインをやり取りすることができます(日本ではこの入口にて法令で定めた事業者を介する必要があります)。

そのため、国・地域、メタバース空間など場所を選ばず利用することができ、結果として金融が発達してない地域では暗号資産の浸透が急速に進んでいます。これがNFTやメタバース空間とも親和性が高いと言われる所以です。ただ、価格のボラティリティが高いため、商用として利用しづらいことも事実です。

そのため米ドルと1:1でペッグする暗号資産が開発され運用がされ始めました。代表的な暗号資産としてUSDCやUSDTというものが上げられます。こちらの暗号資産は発行する暗号資産の価格を米ドル1ドルと同等の価値を担保する構造となっており、担保とされる資産は現物の米ドルとされています。USDCは、ニューヨーク州で金融機関の免許を取得し運営するサークル社が発行するステーブルコインで安全性が高いと評価を受けています。

このステーブルコインも様々なものが発行されており、全てが法定通貨を担保とするのではありません。冒頭で取り上げたUSTの暴落はUSTのプログラムが法定通貨を担保とするものではなかったため信用不安が起こり、取り付け騒ぎのような状態となり崩壊を招きました。

★ 暗号資産の技術は国家間の争いにまでに発展

現在、国際取引においては米ドルが利用されていますが、ステーブルコインの普及は民主主義国家と共産主義国家の経済覇権の争いを生み出しています。現在CDBCと呼ばれる国家が発行するステーブルコインの開発が進められており、中国がこの開発に力を入れている状況です。

ウクライナ侵攻で制裁を受けるロシアですが、国際送金のSWIFTから除外しましたが、中国の元決済で資金を得ているようです。SWIFT外しの効果がいまいちな状況の中、ロシアの状況をみた中国がCDBCの開発に力を入れるのは米ドルの力を削ぐためにブロックチェーン版SWIFTを作り上げ、国際決済力の確立を狙っているからです。

仮想通貨

経済大国の中国が金融システムを握る可能性が出てきており、金融覇権に大きく影響を及ぼす可能性があるため、米国もこのステーブルコインの制度化に向け法整備に入りだしました。国や銀行を介さないで個人間のお金のやり取りをするために開発されたブロックチェーン技術が国家レベルで採用されるようになったというのはなんとも面白い話です。

国、個人からニーズのあるステーブルコインは今後重要性がますます上がってくることになると思います。

次回はこのステーブルコインが法定通貨に与える影響についてお話します。

※ 本記事に記載されている個別の銘柄・企業名については、あくまでも記事の内容として記載したものであり、その銘柄又は企業の株式等の売買を推奨するものではありません。

《参考文献》『逆境ブロックチェーン(上)仮想通貨、ドル連動の虚構』(Tech×Market)2022年6月23日付 日本経済新聞

 

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