事業承継を通じた企業の成長・発展

今や中小企業の事業承継は社会的な課題となっています。事業承継は単なる経営体制の変更ではなく、成長・発展を遂げるための転換点にもなりうるという事例をご紹介します。

◆取引先から事業承継について指摘されたことをきっかけに事業承継を果たした企業

金属製品製造を営むY社は主要取引先から事業承継の計画書を提出し実行に移して欲しいとの要望を機に、自身の年齢を考慮し、社長交代を決意するも何から手を付けるべきか思案していた。

事業承継

そんな折に商工会主催の事業承継セミナーに参加。事業承継に向けて必要な基礎知識を学び、同商工会の専門家派遣制度を活用し面談を通じて事業承継に必要な自社の情報を整理した。この作業の中で、自社の強みや課題を洗い出し、自社の現状を客観的に評価、分析できたことにより、取引先に提出した計画書は高い評価を受けた。

承継後のY社は補助金を活用した販路拡大や新しい製造工程の開発に基づき経営革新計画の承認を得るなど、新しい取り組みに挑戦した結果、売上が前期比15%増を達成。その後、コロナの影響で一時業績が落ち込むも、事業承継を機に関係が構築された金融機関や公的支援機関から新型コロナ対策の融資を受けることができた。

◆一度は廃業を決めたものの後継者の強い意志で事業承継に成功した企業

札幌でも有名な海鮮居酒屋を運営するT社。道外からも客が訪れる人気店であったがコロナの影響で売上が落ち込み赤字による損失がこれ以上大きくならないようにと廃業に向けた準備を始めた。

長女のS氏は当初は父の廃業という決断に賛成していたが居酒屋への愛着が強く、何とか再出発できないかと考え始めた。事業承継すべきか迷ったS氏は、北海道よろず支援拠点に相談に行った。同社は財務内容もよく、道内外のファンが多い有名店というブランド力もあったため、業態転換を組み合わせた事業承継を勧められた。

S氏は父が進めていた廃業手続きを止め、相談対応に食と営業の専門家が加わり、新たに提供するメニュー等の営業戦略を練った、その間、司法書士や税理士の紹介も受けて事業承継を進め、半年後に事業承継を完了した。今後は感染症流行を踏まえた消費者の新たなニーズや2児の母であるS氏のライフスタイルに合わせた業態転換を行う予定である。

《参考文献》2021年版中小企業白書

 



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