年金の受け取り方

クローバー通信 No.203

iDeCo

2022年4月から国民年金の繰下げ受給が75歳まで延長となりました。これに合わせ確定拠出年金の受取開始年齢が75歳まで延長になっており、年金の受取方法・受取時期の選択肢が広がっています。

今回は、受取方法について見ていきましょう。

1 年金制度

「公的年金」の他、退職に伴う「企業年金」「退職一時金」などがあります。

年金制度

老齢厚生年金

年金

老齢基礎年金の受給資格がある場合に、上乗せして受け取ることができる。

年金額は、厚生年金に加入していた時の報酬額や加入期間に応じて計算される。

老齢基礎年金

満額 777,800 円

保険料納付期間と保険料免除期間など合算して10年以上ある場合に、原則65歳から受け取ることができる。

年金額は20歳から60歳まで40年間で国民年金の納付月数に応じて計算される。

2 公的年金 繰上げと繰下げ

2022年4月改正

◆ 繰上げ受給の減額率が縮小
◆ 繰下げ受給の上限年齢が75歳に

♣ 繰上げ 65歳より前に受給開始

自ら手続きをすることにより1カ月単位で前倒しでき、60歳から受給できます。

繰上げ請求を一度選択すると、取消はできません。

[ポイント]

減額され1カ月早めるごとに0.4%減 60歳から受け取る場合は24%の減額

(1962年4月2日以降生まれの人から適用。それ以前は0.5%)

◦減額率は変わらず一生続く
◦繰上げ後に障害を負った場合は、原則障害年金の対象外
◦寡婦年金が受給できない
◦国民年金の任意加入はできず、保険料の追納もできない
◦遺族厚生年金の受給制限
◦雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合、繰上げ後の老齢厚生年金の全額または一部が支給停止となる

[目安]

繰上げ後の受給総額が65歳開始より有利なのは、手取りベースで、受給開始64歳では84歳10カ月まで、60歳では80歳9カ月までとなります。

♣ 繰下げ 66歳より後に受給開始

75歳まで繰下げることができます。

[ポイント]

◦老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて増額
 1カ月遅らせるごとに0.7%増 75歳から受け取る場合は84%増額
◦増額率は変わらず一生続く
◦老齢基礎年金・老齢厚生年金どちらか一方のみの繰下げも可能
◦繰下げ中、年下の配偶者がいる場合の「加給年金」「振替加算」は受給できない
◦複数の老齢厚生年金を受給できる場合には、同時に請求となる
◦厚生年金基金・企業年金連合会(基金など)の受給も併せて繰下げとなる
◦65歳前日から66歳前日までの間に、障害給付や遺族給付の受給対象となった場合は、繰下げ受給の申請ができない
年金額が増えると、税金と社会保険料の負担が増える

[目安]

繰下げの受給総額が65歳開始より有利になるのは、手取りベースで、受給開始70歳なら87歳以降、75歳では91歳以降となります。

◆ 年金は、常に自ら手続きしなければ受給できません

3 退職給付金制度

リタイヤメントプランでは退職給付金は大きな要素です。退職に伴う給付金制度には、大きく分けて「退職一時金」と「企業年金」があります。規約で定められていますので勤務先に確認してみましょう。

退職給付金 受取時期
退職給付金 受取方法比較

4 受け取る時の注意

受取方法・受取時期により、所得税額が変わります

退職給付金 受取時の注意

◆ 退職一時金と確定拠出年金を一時金で受け取る場合

◯ 同一年内に受け取る場合、退職所得は合算して計算される

退職所得控除は、勤続(加入)期間の長い方が適用となる

× 先に退職一時金、その後14年以内に確定拠出年金を受け取る場合、勤続(加入)が重複している期間の退職所得控除を減額する必要がある

◎ 60歳で確定拠出年金、65歳で退職一時金を受け取るなど、5年経過している場合は、減額することなく退職所得控除が適用される

まとめ

有利な受け取り方としては、税制上の「退職金控除」・「公的年金控除」を最大限活用する事がポイントです。

60歳から確定拠出年金を受け取り、つみたてNISAで運用を継続、65歳以降に退職し、退職金・老齢厚生年金の受給を開始、老齢基礎年金は余裕があれば70歳ころまで繰下げというプランは、税制を活用したプランと言えるでしょう。

しかし、繰上げ・繰下げ、一時金・年金受取は、見かけの金額で判断するのではなく、ライフプランの中で、家計において収入が確保できるか、いつから貯蓄を取り崩さなければならないか等によって判断する必要があります。

年金の受け取り方は複雑です。勤務先の年金制度・退職金制度、夫婦間の年齢差、老後資金の準備はできているか、いつまで働くかなど、ライフプラン・リタイヤメントプランに基づき自分で選択しなければなりません。

判断が難しい場合は、年金事務所や社会保険労務士、FPに相談してみましょう。

 

 

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