コロナ禍で過去最高の税収とその先

財務省の公表によると、令和2年度の日本の一般会計の税収は60.8兆円で過去最高であることがわかりました。コロナ禍による景気落ち込みが予想されていた中、どうして過去最高の税収となったのでしょうか。

税

令和元年度と比較してみると所得税はほぼ同額で、法人税と消費税が増えているとのことです。所得税に関しては、コロナ禍によって就労機会を失った多数の労働者の所得が減った一方、コロナ禍の中でも世界的に株価が上昇し、日本においても堅調に株価が推移していることから、富裕層による株取引の所得が増えていることが考えられます。法人税は増加しており、企業も潤っているように見えますが一様ではなく、大企業による増収がほとんどでした。

一方で中小企業は減収に苦しんでいる場合が多いようですが、もともと赤字であることが多く、中小企業の減収は法人税の税収全体に影響しなかったと考えられるようです。全企業に占める中小企業の割合は99.7%で、従業員数は全従業者数の約7割(中小企業庁HPより)であるとされ、ここにK字回復と言われる所以を垣間見ることができます。

税金を負担する主体は法人と個人があり、その課税方法として法人税や所得税(直接税)と消費税(間接税)に大きく分けられます。日本の税収の比率は、間接税の比率がアメリカより高いですが、欧州と比べると低くなっています。日本においては少子高齢化により所得税の伸びが期待できず、法人税の伸びも期待できない状況が長く続いていたため、広く一般に課税できる消費税へのシフトが求められ、令和元年10月に10%に引き上げられました。

令和2年度の税収は60.8兆円でしたが、政府は家計支援や持続化給付金など「コロナ予算」を2021年7月現在で約73兆円をつけてきました。その約30兆円を使い切れずに繰り越したようです。コロナ対応の機能不全は、コロナ後の成長戦略に影響を残すかもしれず、迅速な対応が求められるところです。これらの予算の財源には将来の税金があてがわれます。東日本大震災でも復興特別税が法人税では3年間徴収され、所得税では2037年まで上乗せされています。英国政府は既にコロナ財源のために法人税を引き上げると発表しましたが、日本政府の今後のコロナ対策の財源議論が法人税や所得税の再度の上乗せになるのか、増税したばかりの消費税に向かうのか注目されるところです。

 

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