積立投資の効果

クローバー通信 No.191

株式相場が上昇し、貯蓄から投資へと言われても、どのタイミングで始めればよいのか悩ましいところです。

投資で一番効果があるのは「安く買って高く売る」事ですが、上がっている時は「上がりすぎてこれから下がるのではないか…」価格が下がっている時は「もっと下がるのではないか…」と二の足を踏み、手が出せないという人も多いでしょう。

今回は、投資初心者におすすめされる積立投資について見ていきましょう。

1 積立投資

現在の低金利では定期にしてもほとんど利息が付かないのが現状です。しかし、近く支払う予定のあるお金や、いざという時の資金としてある程度準備しておきましょう。

積立投資は、少し先の将来に向けて、価格が変動する投資商品に毎月投資する事で、リスクを抑え、お金に働いてもらいながら資産形成してもらおうという仕組みです。次のステップとして積立投資を検討しましょう。

2 ドル・コスト平均法の効果

ドル・コスト平均法とは、株式や投資信託などの金融商品の投資手法の一つで定額購入法とも言います。価格が変動する金融商品を購入する場合、一度に購入せず、定期的に一定の金額分を購入していく方法です。毎月・毎週・毎営業日など設定し、相場の波に応じて、高い時には少ない口数を、低い時には多い口数を購入する事になり、結果的に購入単価を抑える事ができます。変動幅が大きい商品の方が効果が高いのが特徴です。

3 積立投資のメリット・デメリット

♥ メリット

① 一度積立の設定をすれば、その後の手続きは不要となる

② 1回あたり数千円～と比較的少額で始められる

③ ドル・コスト平均法により購入単価を平準化できる

④ 1回あたりの金額は少額でも、長期にわたり継続する事で計画的に将来まとまった資産を形成する事ができる

♠ デメリット

① 売却時の相場により、損失となる場合も　➡ 短期投資には向かない

② 相場が一方的な方向に動く場合は、損となる

　 右肩上がりの上昇相場　➡ 最初に買った方が利益が大きい
　 右肩下がりの下落相場　➡ 下がるまで待った方が損失が少ない

③ 高値掴みはしないが、底値で買うこともできない

4 どんな商品が適しているか

変動幅が大きい（リスクが高い）商品向き
成長する資産・市場への投資がおすすめ

投資信託（株式型）、REIT（不動産投資信託）、純金積立、通貨（米ドルなど）、ビットコイン　など

△ 個別株式は倒産リスクがあるので、投資信託で銘柄分散した方が効果的

△ 債券は変動幅が限定されているため、効果が限定的

初心者にお勧めする理由

① 価格が上がれば資産価値が上がり、下がれば安く購入できるので、上がっても下がってもストレスが抑えられる

② 平均購入単価が下がるので、損からの回復が早い

③ タイミングリスクは積立回数分の1（10年なら1/120）

　 始めるタイミングに悩まない

④ 相場を追わなくても良い

精神的負担感が少ない

5 注意するポイント

資金化のタイミングは重要

資金化する場合は、その時の価格が、それまで積み上げた口数すべてに影響を与えます。

価格が下がったところで慌てて売却すると損失が確定してしまいます。そのまま継続すると、下がった価格で購入でき平均取得単価が下がるため、わずかな上昇でも利益に繋がってきます。損益分岐価格は意識しておきましょう。

最後の暴落を回避する方法

目的に応じて、計画的に現金化していくことが大切です。

① 目標金額を設定し、達成した時点で現金化する

② 成果が出てきたら、株式など変動の大きい商品から安定的な商品にシフトする資産配分の見直しを行う

③ 定期的に現金化する　など

老後資金の場合は、60歳ですべて現金化するのではなく、運用を継続しながら少しずつ現金化して使っていくと良いでしょう。

資産配分の見直し［リバランス］の実行

ほったらかしても一定の効果は出ますが、「定期的」・「相場が大きく変動した時」に利益が出ている商品を一部売却し、割安な商品を購入する［リバランス］を実行すると、より資産運用の効果があることがわかっています。

まとめ

今回は時間軸を中心に、積立投資の時間分散効果を取り上げました。少額でも継続して積み立てるなら、始めるタイミングを選ばないので、早ければ早いほど効果があります。また、相場が変動した方が、高い時には少なく、安い時には多く購入する為、利益が出やすい構造となっています。積立投資ならではの魅力で、期間が長くなればより効果が高くなります。

積立投資は、収益アップの手段というよりも、相場の変動に一喜一憂せず、淡々と長期的に資産を形成するための仕組みづくりに適しています。

つみたてNISAや、iDeCo・企業型確定拠出年金を活用し、老後資金や、教育資金の一部の形成に役立てると良いでしょう。

　

　

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